英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

tough構文とhurt

授業ではかなり念入りに説明することが多い動詞の一つがhurtである。

これはなかなかの曲者で、かなり多様なパターンをとる。いくつか挙げておこう。

 

(1)Was anyone hurt in the accident?

 

まずは、「誰か(または自分)を怪我させる・傷つける」の使い方。この例のように受身で「ケガする」と使ったりhurt oneselfの形で使うことが多い。

 

(2)He had hurt his back in an accident.

 

この例のように、体の部位を目的語にとって「~を怪我する、痛める」という使い方もできる。

 

(3)Fred’s knees hurt after skiing all day.

 

さらに、この例のように、痛む部位そのものを主語にとって、「~が痛む」の意味でも使える。

 

(4)These new boots hurt.

 

さらには、こういう痛みを生み出すものを主語にして、「~は痛い」の意味でも使える。ただ、その他の用法と比べるとこれはさほど多くはない気もする。

 

その他、感情を傷つける(害する)というような使い方もある。

 

映画とかを見ていてやたら聞くのは、You're hurting me.というやつで、「ねえ痛いんだけど!」的な感じか。相手が気づいていないので諭す感じで使うケースが多いように思える。

 

なお、最近映画でストックした用例には、Just because we keep living doesn't mean we stop hurting.というのがある。just because...doesn't meanとセットで良い感じの例。

 

さて、hurtにはさらに次のような使い方もある。

 

(5)It really hurts that you’d believe her instead of me.

(6)It never hurts to ask.

(7)It won't hurt you to be polite for a change.

(8)It hurt me to think that you hated me.

 

これらは定型表現だが、文法的に言うなら仮主語ということになるだろうか。仮主語ではないが、副詞節を受けるタイプのitを使うケースもある。

 

(9)It hurts when I try to move my leg.

 

こうした使い方はいずれも辞書に掲載されているが、hurtには辞書には載らない変わった使い方がある。Scientific Americanの記事に出てきた次の例を見てみよう。

 

(10)Some editorials simply hurt to write.

 

お気づきだろうか。writeの目的語がない。そして、それは文の主語のsome editorialsになっている(アメリカの銃撃事件を扱った記事の冒頭)。これは、要するに、tough構文みたいになっている。

 

tough構文は<S be 形容詞 to do>という形容詞を使ったやつだけでなく、よく知られているように、動詞を使ったtough構文(に相当するパターン)がある(verbal tough constructionと呼ばれることがあるらしい)。典型的にはtake / cost / requireを使ったもので、例えば、

 

(11)This task took eight hours to complete.

 

などが該当する。completeの目的語は文の主語になっているので、確かに形式上はtough構文に似ている。あまり知られていないが、いわゆる心理動詞も次の例のようにtough構文をとれるらしい。

 

(12)This book amuses Mary to read.

 

それでは、最後にtough構文型のhurtの例を追加しておく。

 

(13)That ban message hurts to look at.

(14)If this hurts to think about, it’s really no different than they way NFS itself works.

 

こういう動詞は探せばいくらでも出てきそう。