英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

『知られざる英語の「素顔」』のご紹介

明日9/5、僕の書いた「知られざる英語の『素顔』」がついに発売になります。

 

Amazonリンク↓

知られざる英語の「素顔」-- 入試問題が教えてくれた言語事実 47 https://amzn.asia/d/aPaixLJ

 

(事前にご予約いただいていた皆様、大変長らくお待たせしました)

 

以下、簡単に本書を紹介します。

 

①対象は?

英語が好き・得意で、もっと詳しく英語のことを知りたい人に読んでもらうことを想定して書きました。高校生・受験生でも、高校や予備校・塾の先生でも、大学生でも、社会人の方でも、英語が好きな方であればどなたでも楽しめるように書いたつもりです。

 

②執筆の動機・目的

昔からずっと思っていることとして、「新しい本をわざわざ出すなら内容に新規性が欲しい」ということがあります。

 

もちろん、長文問題集であれば、英語の学習においてはいろんな英文にたくさん触れる必要がありますから、長文の題材そのものが違えば、仮に説明や取り上げている文法・語法の項目が全く同じでも、新しいものがたくさん出ることに大きな意義があると思います。

 

一方、文法や語法、構文をメインに扱ったものの場合、特に、問題集ではなく解説メインの参考書的なものの場合、内容に新規性が無いのなら、そんなに新しいものを何冊も出すことにあまり意味はないのでは無いか、とずっと思っています。(これは僕の個人的な考え方であり、今世の中に出回っている問題集が悪いと言っているわけではありません)

 

そこで、英語にたくさん触れていれば当たり前のように遭遇する英語の現象のうち、これまで学習参考書等でほとんど取り上げられることのなかったものに焦点を当て、解説をする本を書きました。「ほとんど取り上げられることのなかった」というのは、もちろん僕の知っている範囲で、という話で、もしかしたら、すでに当たり前のように既存の学習参考書に書かれている、なんてこともあるかもしれません。その場合は僕の認識不足ということで、申し訳ありません。

 

既存の学習参考書で取り上げられていない英語の現象は無限にありますが、本書で取り上げたのは、その中でも「普通に英語としてはよくある」ものです。「マニアック」な本を書こうとしたわけではなく、「英語ならありがちなことなのでこれくらいのことは普通に知られて欲しい」と思っている項目に絞って書きました。

 

本書では主な題材として入試問題を選びました。それはもちろん僕が受験産業の人間だから、というのもありますが、他の理由もあります。それは本書の「はじめに」で書きましたので、よろしければそちらをご覧ください。

(「はじめに」はhttp://www.place-inc.net/details/sugao/sugao.htmlで読めます)

 

このことに関連して一つ言うと、「入試の英文ですらたくさん出てくる」という文言が本書の中で繰り返し出てきます。この「入試の英文ですら」という言葉が意味するのは「書き換えられていることが多い入試の英文ですら」ということです。入試問題の長文はほとんどが雑誌や新聞の記事、洋書からの抜粋ですが、多くの場合、原典から書き換えがなされています。単語を簡単にしたり、複雑な構文を簡単にしたり、学校文法のルールに則らない部分を書き換えたり、といった具合です。つまり、入試問題は「学校や塾で習った通りに読めるはず」の英文になっていることが多いのです。そんな「単純化された入試問題」の英文ですら出てくる、ということは、実際の「生の(?)」英語ではもっと当たり前のように出てくる、ということになります。「入試の英文ですら」という言葉に込めたのはこういうことです。

 

まだまだ全然不十分であることはよーく認識した上で言うのですが、僕はこれまでそれなりの量英語に触れてきました。その中で、当たり前のように出くわす英語の現象がたくさんあります。ですが、参考書を見てもどこにも書かれていない、なんてことが信じられないくらいたくさんあるのです。こうした、「当たり前が当たり前じゃない」現状を変えたくて、本書を書きました。

 

別に僕は「僕はこんなことまで知っているんだぞすごいだろ!」なんてことが言いたくて、言い換えるなら、自分の知識をひけらかしたいとかマウントを取りたいとか、そんなくだらないことがしたくて本を書いたわけではありません。英語が大好きなので、少しでもよく英語のことを知って欲しい、という気持ちの表れです。

 

過度に単純化された説明を見たり聞いたりすると本当に辛い気持ちになります。そして、一番辛いのは、「ネイティブも文法は適当だよ」という発言です。自分の知っているルールに従わないものを全て「ネイティブも間違う」で片付ける人を見ると、本当に悲しい気持ちになります。なにも僕は母語話者が絶対間違わないと言っているわけではありません。ですが、僕が遭遇する「ネイティブも間違う」発言の事例の98%くらいは、単にそう言っている本人が英語の文法現象を知らないだけなのです(もちろん、何をもって「正しい」「間違っている」とするかという難しい問題はありますが、その話はここでは割愛します)。そういうわけで、日本中の英語に関する「当たり前」の範囲をほんの少しでも広げたいと思って本書を書いたのです。

 

③内容

入試問題の長文問題を中心に、その他僕が読んだ小説や見た映画、ドラマ等の用例を使いながら、47の英語の現象について説明しています。ただ、大きな項目としては47ですが、一つのセクションでいくつかの話題を扱っているケースもありますので、実際は(数え方にもよると思いますが)およそ60くらいのテーマがあると思っていただいて良いかと思います。

 

語学においては文法的な理解とは別に、よくある言い方をそのまま覚えることも重要です。本書ではそれも意識しつつ、なるべく具体的な形で「こういうフレーズで使われやすい」というのもたくさん紹介するようにしました。

 

一部言語学の文献等を参考にさせていただいていますが、本書は言語学の本では当然ありません。言語学の知識は全く前提にしていません(そもそも言語学のことは僕がわからないので安心してください)。ですから、もし万が一ご専門の方が見られた場合、説明の仕方に相当な問題がある、なんてことももしかしたらあるかもしれませんが、本書の趣旨は学問的に正確な分析を紹介することではなく、「英語の言語現象としてどういうことが起こりうるのか」を紹介することですから、気軽な気持ちで(?)読んでもらえればと思います。もし、言語事実そのものの誤認が含まれていれば、申し訳ございません。それは僕の不勉強ということで、ご教示いただければ幸いです。

 

④さいごに

英語の勉強はどこまで行っても終わりません。どんなに勉強してもわからないことだらけです。そんな中で、少しでも皆様の英語の理解が向上する手助けになれば幸いです。

 

是非、本屋で手に取ってもらえたら嬉しいです。ここが面白かった、これは授業で自分も教えている、など、色々と感想を頂けると励みになります。

 

どうぞよろしくお願いします。