英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

『実例が語る前置詞』(くろしお出版)を読んで

ずっと楽しみにしていた、くろしお出版から出ている『実例が語る前置詞』という本を読んだ。byでおなじみの平沢慎也さんのご著作だ。出版されてすぐ読みたかったが、自分の本やその他仕事がもろもろあったので、ずっと我慢していたが、無事に書き終わり、少しだけ余裕ができたので、ゆっくりと読み進め、ようやく読み終わった。

 

本書は一部の前置詞の持つ用法のうち、見逃されがちであったり辞書の記述が十分でないなど、よく使われる使い方なのに盲点になりがちな用法の一部を様々な実例を通して紹介・解説してくれる本である。

 

最近僕の読んでいるModern Loveというエッセイ集の中のAdolescence, Without a Roadmapという作品の中に次のような英文が出てくる。

 

I literally smiled through my tears.

 

自閉症の息子が、自分のかすかな気持ちの変化(亡くなった母親を思い出して悲しくなっていた)に気づいて抱きしめてくれた、という出来事を述べた部分である。ここのsmile through my tearsという表現、英語をある程度勉強した人であればおおよその意味はもしかしたら理解できるかもしれないが、この表現が伝えようとしているニュアンスを理解している、さらにはこの表現を自分が適切に使える、と自信をもって言えるだろうか。本書を読む前の僕は間違いなく無理だった。ジツカタ(著者ご本人がそう呼ばれていたのでここでも使わせてもらう)ではこの表現について明瞭な言葉で説明が与えられ、関連するthroughを用いた表現が多数の実例を通して解説されている。先ほどの引用部分はこのエッセイのかなり感動的なシーンであるが、ジツカタを読んだおかげでその感動(できる)具合が間違いなく上がっている。smile through my tearsの解説を読んだだけで買ってよかったと思える。

 

本書は最初から最後までこうした感動の連続であり、学びの連続である。英語への向き合い方も学べるし、具体的な数多くの前置詞表現をもちろん学べる、すごい本。予備校や塾の先生をはじめとして英語を教えている人には必読だと思う。あまりネタバレをしたくないので具体的な表現を挙げることは避けるが、入試問題の長文を読んでいれば当然のように出てくる表現も多数登場する。前置詞を含む表現の解説を雰囲気でごまかしたりしないためにも、お読みになることを強くお勧めしたい。僕自身一回読んだだけではとてもではないが吸収し切れていないので、今後も何度も読み返したいと思う。

 

 

 

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