英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

It [This / That] is just X ing構文

定量小説を読んだり映画などを見ていると、繰り返し登場するパターンに気づくことがある。自分の授業でよく強調することの一つとして、「<意味上の主語+ing>という形式が具体的にどういう表現で登場するかには一定度の傾向があるので、高頻度に使われるパターンはそのまま覚えましょう」というのがある。さて、恥ずかしながら以前はあまり意識していなかったけれど、最近になってだんだん多いということが分かってきた次のようなパターンがある。

 

(1)The last thing they would want if they were having a disagreement was Heather showing up. (The Younger Wife)

 

the last thing SVが主語になり、その補語の位置でX ingという形式がよく登場する。つまり、<The last thing SV be X ing>で「SがもっともVしないのはXが~することだ」くらいの意味になる。もう少し用例を。

 

(2)The last thing we need is a solicitor making a fuss. (The Silent Patient)

(3)I could tell he was busy – the last thing he needed was me calling, freaking out because I think someone is watching the house. (The Silent Patient)

 

感覚としては以前から多い気がしていた気がしないでもないけれど、実際に用例を集め始めると、やたら出てくることに気づく。授業ではよくing以外にも過去分詞や形容詞、前置詞句なども<名詞+α>という形式はしばしばそこが節のような意味あいになっていると理解すべきパターンが多いことを伝えているが(と言ってもここ4,5年言い続けても全く重要さが響いていないがw)それが理解できていれば次のような用例もすぐに理解できる。

 

(4)The last thing I need is him in my head tonight ... (Just Date and See)

 

要するに「もっとも要らないのは今晩頭の中に彼がいること(→今晩彼のことなんか一切考えたくない)」くらいの意味だろう。

 

こうやって用例を並べてみればすぐに気づくが、動詞にはneedが使われやすい。ここでは一例だけだが、実際にはwantも多い。

 

別のタイプとして、かなり前から集めているパターンに次のようなものがある。

 

(5)女:We both almost lost our lives and I'm emotional too but you can't be serious. 

   男:This is me serious, Laurel. (ドラマArrow

(文脈:彼氏が彼女の部屋から出ていこうとする(別れようとしている))

 

Thisが指すのは出ていこうとする自分の行動を指しているということでおおよそいいと思うが、This is me seriousというのはやはりmeとseriousが節のようになっていて「僕は真面目だ」と言っている。This is me being seriousといったように形容詞の前にbeingがついてることもある。例えば、同じドラマである人物を説得しに行ったら私の決断は揺らがない、と言われたことに対し、This is me being changed(こっちが変わろうとしているんだ)と返している。他には、

 

(6)男:You said you were meeting me halfway.

   女:This is me doing my part. (ドラマArrow

 

というのがある。「歩み寄るって言ったじゃん」と言われたのに対して、「こうやってこっちは歩み寄ってるじゃん」と言い返している。

 

こういう<This [It / That] is X ing>という形式にはいくつかのパターンが存在している。これも授業でよく言うんだけれど、非常に多いのは、なんかの音が鳴ったときに、その音がなんなのかを説明するときにこの構文が良く使われる。

 

(7)Listen. Hear that? That's the Maze changing. It changes every night. (映画『メイズランナー』)

 

何かギシギシ音が聞こえてきた場面。この映画には形状が変わる迷路が登場するが、the Mazeはそういう迷路のことを指している。「あれはMazeが動いている音だよ」と言っている。

 

さて、最近読んでいる小説ではほぼ必ず一冊に一度は登場するパターンがある。

 

(8)It was just her mind playing tricks again. (Dreamland)

 

文脈が結構複雑だが、ざっくり言うと、ある女性が暴力的な夫から逃げだしてきた場面で、町で出会う人みんながもしかしたら夫の差し向けたスパイに思えてしまう、という状況。あるお店の店員のことを思い出したときにあの人もまさか、と思って心配している。itは漠然とこうした状況を指している。

 

つまり、この文は、「(いろいろ強迫観念のように不安だったけど)これもまた彼女の頭が作り出した思い違いに過ぎなかった」という感じのことを言っている。

 

このような、It [This / That] is just X ingという形式で「これは(それは)単にXが~しているだけ」というパターンが非常に多い。 もう一例ほど。

 

(9)There is something official about it, something forbidding, although perhaps that is just my usual nameless fears rising to the surface yet again. (The Child I Never Had)

 

一番最近読んだ小説ではwhichのバージョンが出てきた。

 

(10)Oh, and then there’s my attempt to dress a little sexier than I usually do, which was just me making an effort for a change, but now it’s going to seem like I’m dressing for whatever this is. (Just Date and See)

 

「いつもよりちょっとセクシーな恰好をしようとしている自分がいるけど、これはただ気分転換のつもりでやっているだけで(別に気のある男性の気を引こうとしているわけではないから~~)」ということを言っている。

 

justがなくてもおおよそ「ただ~してるだけ」感のある用例もあるので、ある程度パターン化した形式と言っていい。