英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

気分で正誤問題(1)

次の問1~問5の下線部(a)~(d)の中から間違っているものを一つ選びなさい。

 (中京大2017)

 

 

1.The problem was (a)that she could understand (b)either English nor French (c)which were (d)most widely used in that region.

 

2.Not (a)only did they kindly (b)come to my home (c)but they also (d)offer real help to me.

 

3.You are the (a)very last person (b)that I would have expected (c)you to say such (d)a thing to me.

 

4.I will (a)never forget that person for (b)having saved me in the sea rescue as (c)far as we (d)live in this world!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

1. (b)  2. (d)  3. (c)  4. (c)

 

簡単な解説

1.The problem was (a)that she could understand (b)either English nor French (c)which were (d)most widely used in that region.

 

(b)either→neither

英語もフランス語も話せないので「どちらも~ない」の意味のneitherを用いる。neither A nor Bのセットで使う表現。

 

★補足

English / Frenchは固有名詞のようなもので、一般的に考えたら関係詞の前にカンマがつきそうであるがこの問題ではついていない。これは問題の不備なのか、意図的なのか、よく分からない。確かに、英語などにも複数の種類がありうるので、そういった場合にはカンマがつかなくても良い。

 

例) Standard English is that variety of English which is usually used in print, and which is normally taught in schools and to non-native speakers learning the language.(名古屋外国語大)

 

しかし本問の場合はそうではなく明らかに他の言語との対比で「英語/フランス語」と言っている。であるから、一般的な学校文法にのっとって考えればやっぱりカンマがつく方が普通な気がする。単なる作問ミスではないとして、その理由を考える。中山仁(2016)『言葉の基礎1 名詞と代名詞』研究社.ではいわゆる制限関係節と非制限関係節の連続性について議論があり、端的にまとめると、「主節の示す内容あるいは談話の文脈に基づいて内容が十分に予測可能な場合、本来の非制限関係節はカンマなしで現れうる」ということになる。

 

例1)He showed it to O'Malley who got up at once and burried to the phone.

「彼がそれをO'Malleyに見せると、O'Malley(警察官)はすぐに立ち上がって電話のところに急いだ。」

 

例2)"Shut your mouth and get your feet together. In future you speak when you're spoken to and not before." He walked round behind Preston who was by now standing rigidly to attention.

「「口を閉じて姿勢を正せ。今後は話しかけられて時だけ口を開け。勝手にモノを言ってはならない。」彼がPrestonの後ろに回ると、Prestonはすでに直立不動で立っていた。」

 

最初の例では主節で示される内容に連続して次に起こる内容が関係節内で表現されているので、その意味で予測可能、とされる。二つ目の例では叱責されたことで態度を改めたことが文脈から十分に予想される。こうした理由でカンマがない、と説明する。

 

河野継代(2012)『英語の関係節』開拓社.では上の一つ目の例とかかわるような指摘がある。そのうちの二つを取り上げておく。

 

例3)Many of the rescued passengers were first taken to the island by helicopters that then returned to continue the search.

「救出された乗客の多くはヘリコプターによってまず島に搬送され、その後ヘリコプターは現場に戻って捜索を続けた。」

例4)...his left hand rests on a lever that activates a vacuum pump that in turn operates both the gas and brake controls.

「彼の左手はレバーの上に置かれており、そのレバーによって真空ポンプが作動し、そして作動した真空ポンプによってアクセルとブレーキ装置の両方が作動する。」

 

同書によればこうしたthenやin turnを含むカンマのない関係節は普通に存在するとされる。そしてこれらの語句の意味を考えたとき、「そしてそれから」くらいの意味であるから純粋に制限的とは言えない。これらも「連続的におこる」というような意味では一つ目の例と重なるものと言える。

 

さて、では本問の場合はどうか。「困ったことに英語もフランス語も話せない」という内容から考えて、「その地域で使われている言語なのに」という部分は十分に予測可能性が高いと言える。そうやって考えれば、この問題でカンマがないことにもそれなりの根拠があると言えなくもない気がしないでもない。けど、ここに下線を引いちゃうのはちょっとセンスがない。

 

 

2.Not (a)only did they kindly (b)come to my home (c)but they also (d)offer real help to me.

 

(d) offer→offered

not onlyで倒置が起きていて、didが使われていることから本来的にはthey cameとなっていることが読み取れるので、手助けをしてくれたのも過去なのでofferedとする。

 

3.You are the (a)very last person (b)that I would have expected (c)you to say such (d)a thing to me.

 

(c) you→なし

thatが作る関係詞節内で、もともとI would have expected the verylast person to say...となっていたところからthe very last personが関係詞として節の頭に移動するため、空所にならなくてはいけない。

 

4.I will (a)never forget that person for (b)having saved me in the sea rescue as (c)far as we (d)live in this world!

 

(c) far →long

意味的に「私が生きている限り」という意味で、期間を表すのでlongにする。

例)As long as he's here, I'll have more work to do.(ジーニアス)

 

as long asは条件の意味でも使われる。

例)I don't care as long as you are happy.

 

★補足

as long asについて現代英語語法辞典(三省堂)には細かく説明がある。これに従うとas long asは三つの意味に分かれるという。

(A)「~だから」

as long asに続く文の文意が真である時、since(理由)の意味になる。口語的。場合によっては先頭のasが省略されることもある。

例)As long as you're just sitting there, come help me with the groceries.

「そなところでじっと座っているだけなんだから、こっちで食品販売を手伝ってよ。」

 

(B)「その間ずっと」

本問のタイプ。

例)We were perfectly warm as long as the sun was shining.

「太陽が照っている間はずっとぽかぽかと暖かかった。」

 

(C)「...であれば」

as long asの後の文意の真実性が未確定の場合。くだけた口語表現では先頭のasが省略されることもある。as long asの一番一般的な意味がこれ。

例)As long as he's handsome, I've no complaints.

「彼がいい男なら、それに越したことはないわよ。」

 

It is 形容詞 of A to doの構文について (2)- Stowell (1991)より

【It is adj of A to do】タイプの構文について詳細に扱っているStowell, T. (1991) "The alignment of arguments in adjective phrases" Syntax and semantics, 25, 105-135.よりメモをしておく。

 

この論文ではこのタイプの構文に現れる形容詞をmental propertyを取ってMP adjectiveと呼んでいる。ここでいうところのMP adjectiveにはstupid / cunning / mean / nice / kind / farsighted / skillful / generous / imprudentが例に挙げられている。こうした形容詞はindividual level predicates(個体レベル述語:以下ILP)として使える。ILPは主に人間を指す名詞の時間に制限されない一般的本質的特徴を述べる述語で、ILPとして使えること自体は他の形容詞と変わりない。

 

(1)John is clever. (MP)

(2)Dave is tall. (MP以外)

 

MPの他と違う特徴的なところは、行為を表す語句を表現できることにある。

 

(3)Punishing the dog was clever (of Bill).

 

これはtall類の形容詞では全く不可能である。

 

(4)*Touching the ceiling was tall (of John).

 

これに対し、MP以外の形容詞類でもimportantなどでは行為を表す語句を表現できる。

 

(5)It was important to win the election. / Sam's seduction of his neighbor was famous.

 

ただし、(3)のMPタイプと違い、人間と行為を同時に表すことはできない。

 

(6)*Bill was famous to win he election. / *Winning the election was famous of Bill.

 

単純に形式上現れるかどうか、だけでなく、(5)のタイプとMPには大きな違いがある。それは、(5)の場合、表される行為に対して形容詞が叙述することになるが、MPの場合、行為と同時にその行為を行う人間についても叙述することになる、という点だ。例えば(3)では「罰すること」もcleverだが、それは同時にBillもcleverだと言っている。この点を次のように書いていてい面白い。

 

"Thus, winning an election can be important even if the winner is not important, but punishing a dog cannot be clever without the punisher being clever in performing this action."

 

特に文字を大きくしたことに意味はない。

 

さて、行為を表す語句は真に選択的(あってもなくても可)で、表現上現れなくても良いし、意味的にも含意してなくても良い。その一方、人間の方は仮に表現上現れていなくても、必ず存在していることに気を付ける必要がある。例えば(1)の文において、文脈によっては「~したとはジョンは賢い」という風に行為の部分を暗に読み取ることもできるが、普通はそのような部分はなく、純粋にジョンの本質的な性質として「ジョンが賢い」と意味していると考える。一方、

 

(7)That was clever!

 

という文があった場合、このcleverは表面上現れていなくても必ず誰か人間を叙述していることになる。

 

あまり個人的には興味がないが、MP adjectiveは人間にMP θ-roleを、行為にEvent θ-roleを付与すると仮定している。

 

そういえば、昨日のメモでは節が来る場合も可能だ、と書いていたが、どうもこの論文によれば節が来るケースはかなり厳しいらしい。

 

(8)*John was cruel that he shot Mary. / *That he shot Mary was cruel of John. / ?It was cruel of John that he shot Mary.

 

MPと似た形式をとりうる形容詞にeagerタイプの形容詞がある。

 

(9)Bill was eager to punish the dog.

 

しかし、このタイプの形容詞は決してof句がつかない。

 

(10)*It was eager of Bill to punish the dog. / *Punishing the dog was eager of Bill. / *That was eager of Bill.

 

MPタイプの形容詞は行為の語句を表現しない場合、ILPとなる。一方、行為を表す語句を表現する場合、MP形容詞はstage level predicate(ステージレベル述語:以下SLP)となる。SLPはILPと違い、その場その場の特徴を叙述するものと考える。以下の(11)では「パーティーを出た」時限定の「賢い」という判断で、必ずしもジョンがいつも賢いとは限らないが、(12)の場合は時間に関係なくジョンが賢い人だ、という内容を持つ。

 

(11)John was clever to leave the party. / It was clever of John to leave the party.

(12)John was clever.

 

(なお、同じ形容詞がILPでもSLPでも使えるケースもある。例えば一般にsickと言えばSLPとしての解釈が多いと考えられるが、場合によっては「いつも病気がちの人」のような意味でILPとして使われることもできる。一方tallのような形容詞も普通に考えたら(非常に残念なことに)身長はケースバイケースで変わる、なんてことはないのでILPとなる。が、もし時と共に身長が変化する、というような状況があれば当然tallもSLPとなりうる。みんな決まってtallはILPだというが、個人的に初めてこの概念を聞いたときは人間時間と共に成長するじゃんと思った。まあ確かに、一度tallになってしまえばshortになることはない、ということなのかもしれないけれど。が、それにしても、「小さいときはクラスでも背の高い方だったけど、今では周りより低い」というようなケースはあると思うんだけれども、まあ、そういうことではないんだろう。)

 

ILPとSLPでは無冠詞複数形の解釈に違いが出るらしい。

 

(13)Firemen are available.

(14)Firemen are altruistic.

 

availableという形容詞はSLPで、altruisticはILPである。一般にSLPの場合は無冠詞複数形名詞はexistentialな読みがになる。一方ILPの場合、genericな読みになる。要するに、(13)では具体的にあるタイミングで特定の消防士が待機している、というような意味になり、(14)では「一般に消防士は利他的である」という意味になる、ということだ。しかし、MPではやや事情が異なる。

 

(15)Men are stupid to mistreat their children. / It is stupid of men to mistreat their children.

(16)? It was cruel of men to beat their dogs yesterday.

 

MPの場合、(15)のように行為の項が現れていればSLPと解釈されるため、無冠詞複数形はexistentialな読みになるはずだが、事実は逆で、genericな読みしかできない。その証拠に、(16)のようにyesterdayのようなexistentialな読みを強制するような環境だと容認度が低い。

 

 

 

疑問文についてはeagerタイプと以下のような違いが興味深い。

 

(17)Who is John eager to talk to? 

(18)Who was John stupid to talk to? / Who was it stupid of John to talk to?

(19)To whom was John eager to talk?

(20)%? To whom was it stupid of John to talk to? / %? To whom was John stupid to talk to?

(21)When was John eager to eat dinner?

(22)%? When was John stupid to eat dinner? /

(23)%? When was it stupid of John to eat dinner?

 

as節に現れるかどうか、という点でもなかなか興味深い。

 

(24)?? John went home, as was smart of him.

(25)* John went home, as it was smart of him.

 

pied-piping(随伴)についてもなかなか面白い。

 

(26)How anxious to leave town do you think Bill is?

(27)How anxious do you think BIll is to leave town?

(28)? How stupid was that of Bill?

(29)How stupid of Bill was that?

(30)How stupid of John was it to leave town?

(31)%? How stupid was it of John to leave town?

(32)*How stupid of John to leave town was it?

(32)*How stupid to leave town was it of John?

(33)*How stupid to leave town was Bill?

(34)How stupid of John was it to leave town?

(35)How stupid was John to leave town?

 

of句に付いても面白い。

(36)Who was John proud of?

(37)?? Who was it smart of to leave town? 

(38)Of whom was John proud?

(39)*Of whom was it smart to leave town?

 

Itタイプのof句は形容詞の直後以外に置けない。要するに、Heavy XP shiftが適用できない。

 

(40)*It was stupid to wash the car of John.

 

これらのことから、of句はSVOOの第一目的語と共通の特徴を持っているんじゃないかと書かれていてなかなかに興味深い。理論的意義はよく分からないけれど。

 

(41)*John gave the book his brother from Canada.

(42)*Who did you say John gave the book?

 

 

MPの中で一部の形容詞は他者との関連で叙述するものがあるという。

 

(43)John was very kind to me.

 

ここでは「私に対して」とても親切だ、ということで、to meという対象が現れている。文中に現れないが、必ず行為の意味が込められている。つまり具体的に私に対して何かをしてくれた、と解釈する。よってこの場合のkindはSLPとなる。

 

しかし、大変不思議なことに、行為を表す語句と行為の対象を表す語句は同時に現れない。

 

(44)*It was kind of John to me to fix my car.

(45)*It was kind to me of John to fix my car.

(46)*John was kind to me to fix my car.

 

次のような文で前置詞句が現れ得ないのもどういうわけか似ている現象と考えられるらしい。

 

(47)John's manner was proud (*of his son).

(48)BIll's remarks were angry (*at the government).

(49)Mary's expression was optimistic (*about the results).

 

当然以上の三つの例で主語をそれぞれJohn / Bill / Mary(つまり人)にすれば何の問題もない文になる。まあ、そもそもJohn's manner was proud.という言い方自体がなかなか勉強になる。

 

どこら辺が似ているのか、説明は書いてあるけれど僕にはよく分からない。まあ、個人的には事実が大事なので、言わない、ということさえ分かればそれでよい。

 

この論文では最後にMPタイプの形容詞に似ているもの(が違うもの)が3種類ほど取り上げられている。

 

一つは心理動詞から生まれた形容詞のannoying / surprisingなど、もう一つがtypical / characteristic / helpfulなど、もう一つがexpectedという過去分詞。

 

(50)It was typical / annoying (of John) to punish the dog.

(51)Punishing the dog was typical / ? annoying (of John).

(52)How typical was it of John to punish the dog? / *How typical to punish the dog was it (of John)?

(53)*It was typical / annoying to punish his dog of my brother John.(heavy XP shift)

 

言われてみれば、似ている気もする。

 

しかし、違いもある。第一に(50)~(53)のような形容詞の例では人間を表す句は現れなくても良い。現れない場合、必ずしも意味として人間を読み取る必要はない。That was cleverといった場合に必ず暗に人が背後にいる場合とは異なる。第二に、定形節(ようするにthat節)が取れる。

 

(54)It was typical / annoying that John punished the dog.

 

第三に、typicalタイプの形容詞ではof句の名詞がwh移動できる(annoyingタイプでは不可)。

 

(55)Who is it typical of to punish his dog?

 

最後の似ているタイプは以下のようなexpectedである。

 

(56)It was expected of John to punish the dog.

(57)Punishing the dog was expected of John.

 

例を挙げるのがつかれたので省略するがexpectedはtypicalタイプに似ているという。

 

 

なかなか勉強になった。

 

 

 

 

 

 

 

It is 形容詞 of A to doの構文について

受験で定番の構文の一つに次のようなものがある。

 

(1)It might be wise of you to avoid studying abroad next year.(近畿大

 

このタイプの構文で使える形容詞は(2)のようなタイプの構文でも使えるとされる。

 

(2)Therefore, if people's words disagree with their body language, you would be wise to rely on their body language as a more accurate reflection of their true feelings.(京都産業大

 

こうした【It is adj of A to do】と【A be adj to do】のパターンを取れる形容詞について何点かメモ。

 

まず具体的にこのタイプの形容詞を挙げてみると、例えばwise / smart / kind / stupid / braveなどがある。

 

このタイプの形容詞では補文を取る時に命令文にはならない。

 

(3)Be polite.

(4)*Be polite to help old folks across the street.

 

このタイプの形容詞の補文は内容的に過去指向であるのに対し、命令文は未来志向なため矛盾するためである。ただし、enoughをつけるとよくなる。

 

(5)Be polite enough to help old folks across the street.

 

このタイプの形容詞の補文には必ず非状態的な述語が現れる。

 

(6)*Tom was kind to be tall.

(7)*It was wise of John to inherit a fortune.

 

まあ、これは意味を考えたら意味不明すぎるが。。。

 

意外な事実としては受動化していはいけない、というものがある。

 

(8)*John was wise to be kicked by Sam.

 

授業ではあまり取り上げられることはないけれど、以下のようなパターンも取りうる。

 

(9)That John helped the lady was polite (of him).

(10)It was polite of John that he helped the lady.

(11)To help the lady was polite of John.

(12)For John to help the lady was polite of him.

(13)John's helping the lady was polite.

 

ここでの(11)の形は人によって容認しない人もいるという。また、(12)においてof himを省略しても良いが、逆に(13)においてはof himをつけることはできないらしい。

 

以上の例では形容詞のみのパターンだが、名詞句の場合も存在する。

 

(14)You were a smart man to leave.

 

ただし、このようなパターンには制約がいくつかある。まず名詞句の名詞には一般的な名詞、例えばman / woman / boy / girlなどしか来ない。

 

(15)*John was a stupid psychiatrist to leave.

 

さらに、このパターンの名詞句には不定冠詞しかつかない。

 

(16)*John was the wise man to run away from the bear.

(17)*There were some stupid men to do such a thing.

 

Itを用いたパターンではthatにすることもできる。

 

(18)That's nice of you to say so.(名古屋外国語大)

 

ただし、感覚的にはthatの場合は不定詞が現れないことが多い気はする。

 

受験産業においてもよく言われるように、一般に不定詞は未来志向だというが、このタイプの構文では例外的に過去を表すのが原則だ。よって、不定詞が完了形にならずとも意味は過去である。がしかし、だからと言って完了形には絶対ならないかと言えばそんなことはない。

 

It's really good of you to have invited me on the walk today.(関西学院大

 

そういえば、一般に不定詞を含むitの構文と言えば仮主語構文で意味上の主語にfor Aを取る。今回のパターンのofは不定詞の意味上の主語なのか?というと、(9)や(10)から明らかなように、形容詞に従えられるパーツであって不定詞の主語ではないと言える。

 

 

参考

中村捷 ほか(1976)『形容詞 現代の英文法7』開拓社.

 

 

度量句について

(1)The largest cave is nearly five meters deep and can shelter up to 85 turtles at a time. (京都産業大

 

英語には(1)の下線部に示されるような、形容詞の具体的な数値を前において示す用法がある。八木孝夫(1987)『程度表現と比較構造』によると、この形を取れる形容詞はかなり限られており、具体的には以下のものが挙げられている。

 

・broad / deep / distant / high / long / old / tall / thick / wide / pregnant / strong / overweight / early / late / short / (時計が)fast / (時計が)slow

 

以下該当する表現を入試問題より二つほど挙げておく。

(2)When I was five months pregnant, though I admit I did not look it in my winter coat, I was sitting on the subway when two middle-aged women got on: there were no more seats so they stood in front of me, hanging onto straps, and started to complain, very pointedly, about the ill manners of the young.(共立女子大)

 

(3) That clock is fifteen minutes fast.(立正大)

 

なお、COCAで~minutes [seconds / hours] slow [fast]の形で検索をかけると、たったの20例ほどしか出てこないので、そんなに頻繁に使われるものではないのだろう。

 

さて、*John is seventy kilos heavy.とは言えないが、代わりにJohn weighs seventy kilos.があり、同じように、*The book is six dolloars dear / expensive.と言えない代わりにThe book costs six dollars.と言える、という事実がある。このことに関して同書では、「一般に、ある尺度について一般動詞+度量句の表現が存在する場合、対応するbe+[度量句+形容詞]の表現は存在しないと言える。」と書いてあり、なるほどぉという感じ。

 

そういえば、こういうcost / weighなどの度量を表す動詞の場合、主語が主題で目的語は主語が存在する場所を表す、ということで主題役割は場所の扱いになるらしい。Jackendoffが言うところの主題階層において、受動文のby句で表される名詞は受動文の主語よりも子の階層において高い位置になくてはいけない、というような制約が提案されたことがあった。よって、cost / weighなどを受け身で使うとこの階層が逆転するので非文になる、という説明がされていた気がする。

 

が、そんなこと言わなくったって、costとかweighなんて受け身にしようと思う人なんていないと思うけどね・・・。

 

longについて

longには次のような使い方がある。

 

(1)Remember also that it does not take long to say 1,000 words. That's the number we would expect to find in a five-minute conversation.(学習院大)

 

ジーニアスなどの辞書を見るとこの場合のlongは名詞という扱いになっている。

 

が、Huddleston and Pullum (2002)ではあくまで副詞だと書かれている。まあ、そうだよね。

 

(2)Take as long as you like.

(3)How long can you give me.

 

同書ではこれらの例文をあげて、as...asに挟まれたりhow に修飾されたりするんだから名詞ではなく副詞だ、という。(1)の例のように動詞の後ろにlongが単独で現れる使い方ができるのは、一部の限られた動詞のみで、同書ではtake / have / need / spend / give / beが挙げられている。また、名詞のように見えても主語では原則使えない、と指摘されていて面白い。

 

同書ではlongが動詞の次に置かれる場合は肯定文ではあまり使われない、と書かれていて、このことに関しては一般的な辞書にもしっかりと「通例否定文・疑問文で」と書かれている。

 

よく言われるように、英語には否定対極表現(あるいは否定極性表現)という一連の語群があり、これらは否定文あるいは疑問文・条件文などでのみ使用が認められる表現のことを言う。要するにざっくり言えば肯定文以外ということになるので、「非肯定」とまとめることもできる。日本語の「ちっとも」とか「誰も」とか「一言も」とかも同じタイプと考える。

 

有村ほか(2009)『英語学へのファーストステップ』(英宝社)には否定対極表現としてany / everなどの典型的なよく言われる表現に加え、muchやlongなどもまとめて挙げてある。muchとlongについては「条件付きで」肯定の文脈に現れることもあると書かれており、具体的にはtoo がついたり比較になったりすればよい、とある(なおこのことは普通の辞書にも書いてある)。

 

(4)? He stayed long.

(5)He stayed longer / too long.

 

また、動詞の前なら単独で肯定文にも現れることができる。

 

(6)I have long thought of moving to Kobe.

(7)We much prefer his offer.

 

みんな大好きMichael SwanのPractical English Usageにもlongに関する項目があり、そこでは肯定文で使われる場合、too / enough / as / so などと共に使われる、とある。

 

(8)The meeting went on too long.

(9)I've been working here long enough. Time to get a new job.

(10)You can stay as long as you want.

 

そして、こうした条件が満たされない場合、同じ意味を表すのに肯定文ではfor a long timeを使う、とある。

 

(11)I waited for a long time, but she didn't arrive.

 

このfor a long timeが否定文で使われる場合の解釈の違いにも触れられていて面白い。

 

(12)She didn't speak for long. (= She only spole for a short time.)

(13)She didn't speak for a long time. 

 

カッコで書かれているように(12)は「彼女は長くは働かなかった→短い時間しか働かなかった。」と解釈する。一方の(13)は「彼女は長いことしゃべらなかった→長いこと黙っていた」と解釈できる。そしてFor a long time she didn't speak.と同じ、と書かれていて面白い。要するにfor a long timeが否定のスコープに入るかどうか、という話。

 

上に書いたようにlonger、すなわち比較級になれば肯定に現れる、わけだけれど、逆にfor a longer timeとは言うのか、というと、Michael Swanによれば、「いや、for longerとする」とあり、for a longer timeには×がつけられている。

 

もちろん、

 

(14)The second reason is that these days, young adults often live with their parents for a longer time than they did in the past. (高崎健康福祉大

 

というようにfor a longer timeという表現が皆無なわけではない。が、COCAで調べてみると、for a long timeが12500例くらい出てくるのに対して、for a longer timeはわずか90例ほど(そしてfor longerが1260例くらい)なので、やっぱり普通は比較の場合はfor longerとするとしておいた方が安全かもしれない。

 

昔はIt will not be long before SVという表現なのに対してなぜIt will be a long time before SVあるいはIt will be a while before SVなのか本当に不思議で仕方がなかったが、そもそもlongが否定対極表現だ、と考えれば一発で解決するとわかった時はなかなか感動した。

 

が、納得したように見せかけておいて、そもそも、なぜlongが否定対極表現なのか、ということになると、考えても仕方がない気もするが、やっぱりよく分からない。

 

以前ある大学の先生が「存在は名詞で表して非存在は形容詞で表す傾向にあるのではないか」と言った旨のことを指摘してくださったが、確信はゼロだけどなんかそんな気もする。

 

 

 

 

aloudの意味

副詞のaloudは誤解されやすい単語の一つとされていて、辞書などにはたいてい「aloudとloudlyの違いに注意しなさい」と書いてある。ジーニアス英和大辞典には次の三つの語義が挙がっている。

 

1.(人に聞こえるほどに)声を出して

2.(古)大声で

3.(英略式)はっきり

 

 

同時書の例文をいくつか。

(1)read a poem aloud「詩を朗読する」

(2)The candle will lose its magical power if the wish is uttered aloud.

「模試願い事を口に出していってしまうとろうそくは魔力を失うだろう」

 

英英辞典の定義をいくつか。

・in a voice loud enough to be heard (Cambridge)

・with the speaking voice in a way that can be clearly heard / archaic : in a loud manner (Merriam-Webster)

if you readlaugh, say something etc aloud, you read etc so that people can hear you (Longman)

 

Longmanには次のような注意書きがついている。

Do not use aloud to mean ‘in a loud voice’. Use loudlyYou need to speak quite loudly for the people at the back.

 

こうやって見てくると、確かによく言われるようにaloudは「声に出して/聞こえるように」の意味で、ジーニアスやMerriam-Websterにあるように「大声で」は古い用法で今ではその意味ではloudlyを使う、と言えそうだ。

 

 

が、Longmanに挙がっている次の例文は「大声で笑う」の意味に「も」なるのではないか。

 

(3)She could have laughed aloud.

 

これは訳せばおそらく「やろうと思えば彼女は大声で笑うこともできただろう」くらいになる場合もあると思う。もちろん、laugh aloudが「人に聞こえるくらいに笑う」の意味にもなるだろうが、「大声で笑う」の解釈もあると思う。さて、COCAから拾ってきた次の例はその解釈があり得ることを示している。

 

(4)He laughed aloud, the big, hearty full-bodied laugh Lila used to love.

 

さて、Longmanにはlaughを含めて

 

・laugh / groan / cry etc aloud

 

という動詞群がまとめられている。これらの表現ではどれもaloudは「大きな声で」の意味になりうるものをまとめているのではないか。

 

ここで参考になるのが小西編の『現代英語語法辞典』だ。そこでは概略次のように書いてある。

 

・本来声を出すことを前提としない個人的行為の動詞の場合は「口に出して」の意(例:read / think)

・声を出すこと意味する動詞の場合は「他人に聞こえるくらい」の意(例:speak / laugh)

・大きな声を含意する動詞の場合は「大声で」の意味

 

要するに動詞によっては「大きな声で」の解釈にもなる場合があるということだろう。COCAの用例を見る限り、そんなに「古い」というほどではないと思う。上に挙げたパターンのうちの三つ目の「大きな声を含意する」動詞でaloudと共起するものをいくつか挙げる。

 

・exclaim / cry / laugh / shout

 

shoutの例。

 

(5)" Dragons, come! " I shouted aloud.

 

exclaimの例。

 

(6)" It smells like-like Christmas trees! " he exclaimed aloud.

 

ちなみにCOCAで検索してみるとaloudと共起するもっとも高頻度な動詞はreadだ。それ以外だとsay / speak / think / wonderなどがよく一緒に使われている様子。こうしたところからもaloudの基本的なよくある意味としてはやはり各辞書が挙げている通り「(聞こえる位に)声を出して」という意味になるのだろう。が、一部の動詞と組み合わさる場合に「大きな声で」の意味合いとなりうることについては、ただ「古い」とだけ書くのではなくてもう少し丁寧に書いてもいい気もする。

 

が、改めて考えてみると、やはりaloudを使った場合は、結果的に大きな声かどうかはさておき、「相手に聞こえるくらいに」というのがメインに伝えたい内容なのかもしれないという気がしないでもない。同じ音量で叫んでも、「通常よりでかい声で」に焦点がある場合はloud(ly)で、「人に聞こえちゃうくらいに」に焦点がある場合はaloudを使う、というように使い分けがあるのか。ただ、そんなに細かい使い分けを本当にしているか、というと微妙な気もする。よく分からない。

 

 

pseudogappingについて

Goldberg (2019) Explain Me Thisに次のような一文が出てくる。

 

(1)In the first experiment, participants showed a slight tendency to avoid using novel a-adjectives (e.g., afek) prenominally, instead producing them in relative clauses more often than they did adjectives like sleepy or chammy.

 

ここで下線を引いたthey did adjectivesにおけるdidはdid produceのdidであり、こうした助動詞を残して一部が消える構文を疑似空所構文(pseudo-gapping)という。疑似空所という名前があるくらいなので疑似じゃない空所構文もあり、それは以下のような文を指す。

 

(2)John read time, and Mary Newsweek.

 

等位接続詞andに結ばれた二文のうち後半で動詞部分が空白になっている。(1)のような文と(2)のような文では、見て明らかな違いは当然助動詞が残るかどうかにあるが、それ以外にも構造上・文法上かなり異なる構文であるとみなされているらしい。

 

ここでは主にGengel (2013)を参考に(1)のようなpseudo-gappingについていくつかメモをしておく。

 

(3)Growing up, Joachim, 40, spent more time cooking than he did watching television.

(4)It makes me feel as bad as it does you.

(5)You can’t treat him the way you do a child. (八木(1987))

(6)Does that make you mad? It would me.

 

最初の二例のように比較節の中で最も頻繁に現れるらしい。が、(5)や(6)のようにその他の構文でも生起可能である。空所構文は等位節においてのみ許容されるのに対し、疑似空所構文は等位節では許容されないことがある。

 

(7)*You probably just feel relieved, but I do jubilant.

 

が、果たしてそういうことなのか。同じ本の同じページの注釈で “Note, however, that the ungrammaticality of the sentence in (23) (=These leeks look terrible – *Your steak will better.の対話) may stem from a ban on adjectival remnants in general”と言っているので、むしろ形容詞(jubilant)が残る形になっているから(7)はダメなのかもしれない。

 

ところで、(7)で使われている等位接続詞はbutである。空所構文は等位節では許容されるが、他の環境では許容されない、と書いたが、今西・浅野(1990)では等位接続詞の中でもand / or / norの場合は良いが、butは許容されにくい、と説明され次のような例が挙げられている。

 

(8)?Bill ate the peaches, but Harry the grapes.

(9)Some people like bagels, but others creamcheese.

 

今西・浅野によれば、「等位接続詞butは、一番目の等位校と二番目の等位行の間に意味的な対立がある場合に用いられると適切な等位接続となる」ので、(8)ではそのような解釈がしにくいために容認度が低いが、(9)の場合はそうした解釈がしやすいので許容される、ということらしい。

 

さて、(7)の例について等位接続詞ではなく形容詞が問題なのではないか、という点について触れたが、比較節中では形容詞が問題なく現れる。

 

(10)I probably feel more jubilant than you do relieved.

 

やはり上にも書いたように比較節においてはかなり疑似空所構文が生起しやすいということなのかもしれない。

 

動詞がなくなる、という点で言えば疑似空所構文は次のようなVP削除に似ている。

 

(11)Mary met Bill at Berkeley and Sue did too.

(12)Because Pavarotti couldn’t, they asked Domingo to sing the part.

 

ただし違いも多い。第一にVP削除の場合(12)が示すように副詞節の中で先に削除部分が生起できるが、(13)に示されるように疑似空所化構文では容認されない。

 

(13)*Although Mag doesn’t eggplants, Sally eats rutabagas.

 

疑似空所構文では名詞句の一部のみを消すことができない。

 

(14)*While Holly didn’t discuss a report about every boy, she did every girl.

 

一方VP削除の場合可能であるように思われる。

 

(15)I know which woman Holly will discuss a report about, but I don’t know which woman you will.

 

解釈における違いもある。

 

(16)Fred gave flowers to his sweetie because Frank had.

(17)Fred gave flowers to his sweetie because Frank had chocolates.

 

VP削除である(16)では、「フランクが自分の彼女に花をあげたのでフレッドも自分の彼女に花をあげた」と訳せる。ところがこの日本語は僕的には多義で、「①フランクがフランクの彼女に花をあげたので」という解釈と「②フランクがフレッドの彼女に花をあげたので」の解釈の両方が可能に思える。そして、(16)の文はそのどちらの解釈も可能であるらしい。一方の(17)では「フランクがフレッドの彼女にチョコをあげたので」の解釈にしかならない。

 

そういえば、この解釈の揺れ、という点についていえば次のような受験定番の構文でも同じ事がいえるらしい。

 

(18)Tom scratched his arm and so did I.

 

要するに(18)では「①私もトムの腕をひっかいた」の解釈と「②私も私の腕をひっかいた」の解釈の両方がある、ということだ。

 

疑似空所構文と空所構文の違いに話をいったん移す。

 

(19)Mittie ate natto, and I thought that Sam had rice.

(20)*Mittie ate natto, and I thought that Samφrice.

 

この例から分かるように、疑似空所構文は埋め込み節に適用できるが、空所構文はそれが不可能である(わかりやすいように空所にφを書き入れてある)。

 

また、疑似空所化構文では対話において相手の発話に対して用いることができるが、空所化構文はそれができない。

 

(21)Speaker A: Drinks like that knock me over  Speaker B: They would me.

(22)Speaker A: Mary will buy an iPod nano. Speaker B: # Yes, Samφan iPod shuffle.

 

空所化構文の例は畠山(2006)からだが、そこでは、ここでの#は、先行する文の答えとしては不適切であることを示している、と書かれているが、パッと見ただけでは空所化問題なのではなくて、Yesという応答とかみ合ってないだけではないか、という気もするが、まあ、きっとそういうことじゃないんだろう。ちなみに、同書では、(22)の返答部分をYes, Sam will an iPod shuffle.としても同じようにダメだ、と書かれていて、Gengel(2013)と言ってること違うじゃん、という感じはするが、母語話者によっても結構容認性に違いがあるということなのかもしれない。なお、今西・浅野(1990)では次の例があがっており、容認可能だとしている。

 

(23)Speaker A: I just hope it will make you happy.  Speaker B: Hasn’t it you?

 

さて、疑似空所化では比較節に現れやすいということに関して、補足をする。逆に言えばこれは他の環境では制限されるということで、例えば次のような文は容認されない。

 

(24)*Rona looked annoyed, but she didn’t frustrated.

(25)?They don’t own a house, but we do a trailer.

 

このように心理動詞や主語繰り上げ動詞、状態動詞では容認度が著しく低くなるあるいは容認不可となる。

 

(26)More girls were aware that Linda had a false tooth than boys were that Max had a false eyes.

 

一般に疑似空所構文では最後の残る要素(空白の右側)は原則名詞句か前置詞句となるが、(10)で示されたように比較節中の疑似空所構文では形容詞が残ることも許容される。そして、比較節中では(26)が示すように節が右に来る場合も容認されるらしい。

 

 

Gengel, K (2013) Pseudogapping and ellipsis (Vol. 47). OUP Oxford.

畠山雄二 (2006)『言語学の専門家が教える新しい英文法』ベレ出版.

今西典子・浅野一郎 (1990)『照応と削除』大修館書店.

八木孝夫 (1987)『程度表現と比較構造』大修館書店.