英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

X it is

In Five Yearsという小説に次のようなセリフが出てくる。

 

I know I've won. "December?" I nod. "Okay," he says. "December it is."

「なんとかなった。『12月?』私は頷く。『わかったよ。』彼が言う。」

 

諸々の事情により彼氏との結婚をとにかく遅らせたい主人公の女性。ずるずる先延ばしにして、まだ結婚しないのと迫られたのに対し、「12月にしよう」と提案する。いろいろ言いくるめられた彼氏の方の発言が上の引用部分だが、最後のDecember it isという言い方はどういう意味か。おそらくこれは「よし、じゃあ12月にしよう」くらいの意味だと思われる。

 

前からこの種の<X it is>という言い方が気になって用例を集めていたけど、だいたいざっくりと「よしXにしよう/じゃあXに[で]決まり」くらいの意味らしいことが分かってきた。集めた用例のうち分かりやすいのをいくつかだけ挙げておく。

 

"He likes pancakes. Will that work?" "I love pancakes." "Pancakes it is." (It Starts with Us)

「あいつ(=弟)はパンケーキが好きなんだけど。それでいい?」「パンケーキ好きだよ。」「よし、じゃあパンケーキで決まり」

 

Not everyone agreed on the name, but eff that. I'm telling the story. So the misfits it is. (映画The Misfits)

「全員がその名前に賛成なわけじゃないけど、知るかよ。物語を語るのは俺なんだから。だから、the misfitsで決まりだ」

*グループのことを何と呼ぶかに関して説明しているところ。

 

And what else could she say to that but . . . “The pantsuit it is.”  (The Younger Wife)

「『じゃあパンツスーツで決まりね』と言うしかなかった」

*あるドレスを着たかったが、いろんな理由をつけられて旦那にそれ以外を着てほしいと頼まれ、「例えばパンツスーツはどうだ」と提案された。

 

 

‘Shall we confront them?’ she suggests. ‘Ask them what they’re talking about?’ ‘No, because if it was bad, they would only lie,’ I point out. ‘We need to be smart about this. We need to watch them, listen to them – try and figure out what they’re up to without them noticing, just like we used to do when we were kids.’ ‘Late nights spying from the stairs it is,’ she says with a smile. (Just Date and See)

「直接聞いてみる?」と彼女は提案してきた。「何話してるか聞いてみる?」「それはだめだわ。だって良くないことなら嘘つくに決まっているから」と私は言った。「賢くやらなくちゃ。よーく観察して、よーく耳を傾けるの。気づかれないように二人がどういう感じになっているのか探るの。子供の時にやったみたいにね。」「なるほど、夜中に階段の上からスパイごっこってわけね」にこっとしながら彼女が言った。

*離婚した両親がなんだか親しげにしているのを見かけて怪しんでいる。

 

"Well, then I want to go get a steak." "Steak it is," I said. (The Seven Husbands of Evelyn Hugo)

「じゃあステーキが食べたいわ」「ステーキに決まりね」と私は言った。

*オスカーをとったから、何でも好きなことをしていいと言われて。

 

 

他の選択肢もある時に、最終的にXに決定する、という感じで使っていることが多い気がする。

 

 

 

whichの数値コメント用法

非制限用法のwhichのよくある使い方に数値情報にコメントする用法がある。

 

(1)I blurt out what’s happened, or as much as I know, which feels very little. (The Child I Never Had)

 

ここでwhichの節はas much as I know(私が知っている限りのこと)が具体的にどれくらいなのかについて、実のことろ知ってることはほとんどないんだけど、とコメントをしている。whichにはこういう数値情報にコメントしたり、数値の捉え直しをしたりする使い方がある。

 

(2)But I kind of hope we’re never around each other again, because I don’t like how much I think about you. Which isn’t all that much – but it’s more than I’d like. (It Ends With Us)

 

ここでは「あなたのことをどれだけ考えているか、その度合いが気に食わない」と言っているが、この「どれくらい考えているか」というのを、具体的には「そんなにたくさん考えているわけじゃないけどね」とコメントをしている。

 

(3)You always know how to help me when I’m having a crisiswhich let’s face it, is often. (The Night We Fist Met)

 

この例では「私が危機に直面している時に」と言った後で「正直なところ、結構頻繁に危機に直面している」と言っている。

 

(4)Vic Knew that Horace and Phil Cowan and everybody else who knew the situationwhich was nearly everybody – considered him odd for enduring it, but Vic didn’t mind at all being considered off. (Deep Water)

 

この例では「彼ら以外で状況をよく理解している他の人みんな」と言った後で、「実際ほぼみんな知っているだけど」とコメントしている。

 

(5)But I've sen the way he is with everyone he thinks is below him - which is most people, including my mother. (A Love to Last A Lifetime)

 

この例では「自分より下だと彼が考える人全員」と言った後で、「実際には、ほぼ全員が該当するんだけど」とコメントしている。

 

 

語彙力で問題を解く1

今年の入試問題を見ていても、やはり結局語彙力が大切だなという認識に変わりはなく、むしろ強まる一方である。東大の正誤問題があまりに簡単すぎて拍子抜けだったが、その中では個人的には1問目が比較的面白かった。

 

The English language has no exception to these social realities although its often unquestioned status as a global lingua franca might make it seem to be such. 

 

この文のThe English language has no exceptionまでが下線が引かれていて、ここが誤っているので、正解はここである。さて、どこをどうすればいいか、だが、hasではなくisにするのが正しい、というのが答え。英語に良く触れていれば、S be no exception (to X)で「Sも(Xの)例外ではない(SもXに従う)」という意味の非常によく使う言い方だと知っている。

 

もちろん、have no exceptionという言い方が全くされないわけではないけれど、普通によく使うのはbe no exceptionという言い方。正直文脈をあまり考えていなくても気づけないといけないレベルの問題。もちろん意味を考えてもおかしいのは分かるけれども。

 

文脈を考えることがいけないわけではないし、頭を使うことがいけないわけではないけれど、語学なので、やはりフィーリングである程度のことは分かるようになりたいという話をよく授業ではしている。そんな時大切なのは、よくある表現をどれだけ知っているか、ということになる。

 

同じ東大の正誤問題の3問目は、

 

For linguistic anthropologists there is a benefit in observing these ambivalent positons and ambiguous dimensions by paying more attention to inconsistencies and seming contradictory positions

 

という文のseeming contradictory positionsのseemingをseeminglyになおす、という問題だった。正誤問題では形容詞と副詞が逆になっている、というのは定番問題だが、ここではそれよりも、seemingly contradictoryというよく使うフレーズを知っていることが重要だろう。seeminglyはseemingly contradictory [unrelated / impossible / endless]などある程度組み合わさりやすい形容詞がある。これを知っていれば0.001秒で答えられる。

 

タイトルは「語彙力で問題を解く1」なので2や3と続いていくと考えるのが普通だけれど、僕はあり得ないくらいに飽きっぽいので1で終わりの可能性も高い。

It doesn't matter wh SV

<It doesn't matter wh節>は「~はどうでもいい」という意味の定型表現で、wh節には未来の内容でもwillをつけないということになっている。普通の文法のルールに従って考えればこのwh節は疑問詞の作る名詞節のはずなので、それならば副詞節でないのだからwillがついてもいいはずなのに、なんでだ~~というのが問題になったりする

 

が、ここではそれは置いといて、次のような例について簡単にメモを。

 

(1)You’re not pathetic, Ted. It doesn’t matter how crap he’s been, he’s still your dad. (The Night We First Met)

 

ここではit doesn't matter howのあとにhe's still your dadという文が続いている。カンマだけで文が繋がることは普通にあることだとはいえ、この<It doesn't matter wh SV, SV>はかなり多い。意味も併せて考えれば、ようするに<It doesn't matter wh節>全体がno matter wh節みたいな副詞節になっているといえる。

 

結構前からこのことは知っていたけど、最近面白い例に出会った。

 

(2)If he wanted to punch her in the face, it didn’t matter how cold his beer was or how clean the kitchen. (The Younger Wife)

 

最後の所ではhow clean the kitchenとなっている。これは要するに、how clean the kitchen wasのwasが落ちているわけだ。節内のbeが落ちると言うのはno matter wh / wh-ever節の定番だけれど、この例では同じことがIt doesn't matter wh節で起きている。これを見るとやっぱりit doesn't matter wh節はno matter wh節感があるということなのだろう。

 

 

It [This / That] is just X ing構文

定量小説を読んだり映画などを見ていると、繰り返し登場するパターンに気づくことがある。自分の授業でよく強調することの一つとして、「<意味上の主語+ing>という形式が具体的にどういう表現で登場するかには一定度の傾向があるので、高頻度に使われるパターンはそのまま覚えましょう」というのがある。さて、恥ずかしながら以前はあまり意識していなかったけれど、最近になってだんだん多いということが分かってきた次のようなパターンがある。

 

(1)The last thing they would want if they were having a disagreement was Heather showing up. (The Younger Wife)

 

the last thing SVが主語になり、その補語の位置でX ingという形式がよく登場する。つまり、<The last thing SV be X ing>で「SがもっともVしないのはXが~することだ」くらいの意味になる。もう少し用例を。

 

(2)The last thing we need is a solicitor making a fuss. (The Silent Patient)

(3)I could tell he was busy – the last thing he needed was me calling, freaking out because I think someone is watching the house. (The Silent Patient)

 

感覚としては以前から多い気がしていた気がしないでもないけれど、実際に用例を集め始めると、やたら出てくることに気づく。授業ではよくing以外にも過去分詞や形容詞、前置詞句なども<名詞+α>という形式はしばしばそこが節のような意味あいになっていると理解すべきパターンが多いことを伝えているが(と言ってもここ4,5年言い続けても全く重要さが響いていないがw)それが理解できていれば次のような用例もすぐに理解できる。

 

(4)The last thing I need is him in my head tonight ... (Just Date and See)

 

要するに「もっとも要らないのは今晩頭の中に彼がいること(→今晩彼のことなんか一切考えたくない)」くらいの意味だろう。

 

こうやって用例を並べてみればすぐに気づくが、動詞にはneedが使われやすい。ここでは一例だけだが、実際にはwantも多い。

 

別のタイプとして、かなり前から集めているパターンに次のようなものがある。

 

(5)女:We both almost lost our lives and I'm emotional too but you can't be serious. 

   男:This is me serious, Laurel. (ドラマArrow

(文脈:彼氏が彼女の部屋から出ていこうとする(別れようとしている))

 

Thisが指すのは出ていこうとする自分の行動を指しているということでおおよそいいと思うが、This is me seriousというのはやはりmeとseriousが節のようになっていて「僕は真面目だ」と言っている。This is me being seriousといったように形容詞の前にbeingがついてることもある。例えば、同じドラマである人物を説得しに行ったら私の決断は揺らがない、と言われたことに対し、This is me being changed(こっちが変わろうとしているんだ)と返している。他には、

 

(6)男:You said you were meeting me halfway.

   女:This is me doing my part. (ドラマArrow

 

というのがある。「歩み寄るって言ったじゃん」と言われたのに対して、「こうやってこっちは歩み寄ってるじゃん」と言い返している。

 

こういう<This [It / That] is X ing>という形式にはいくつかのパターンが存在している。これも授業でよく言うんだけれど、非常に多いのは、なんかの音が鳴ったときに、その音がなんなのかを説明するときにこの構文が良く使われる。

 

(7)Listen. Hear that? That's the Maze changing. It changes every night. (映画『メイズランナー』)

 

何かギシギシ音が聞こえてきた場面。この映画には形状が変わる迷路が登場するが、the Mazeはそういう迷路のことを指している。「あれはMazeが動いている音だよ」と言っている。

 

さて、最近読んでいる小説ではほぼ必ず一冊に一度は登場するパターンがある。

 

(8)It was just her mind playing tricks again. (Dreamland)

 

文脈が結構複雑だが、ざっくり言うと、ある女性が暴力的な夫から逃げだしてきた場面で、町で出会う人みんながもしかしたら夫の差し向けたスパイに思えてしまう、という状況。あるお店の店員のことを思い出したときにあの人もまさか、と思って心配している。itは漠然とこうした状況を指している。

 

つまり、この文は、「(いろいろ強迫観念のように不安だったけど)これもまた彼女の頭が作り出した思い違いに過ぎなかった」という感じのことを言っている。

 

このような、It [This / That] is just X ingという形式で「これは(それは)単にXが~しているだけ」というパターンが非常に多い。 もう一例ほど。

 

(9)There is something official about it, something forbidding, although perhaps that is just my usual nameless fears rising to the surface yet again. (The Child I Never Had)

 

一番最近読んだ小説ではwhichのバージョンが出てきた。

 

(10)Oh, and then there’s my attempt to dress a little sexier than I usually do, which was just me making an effort for a change, but now it’s going to seem like I’m dressing for whatever this is. (Just Date and See)

 

「いつもよりちょっとセクシーな恰好をしようとしている自分がいるけど、これはただ気分転換のつもりでやっているだけで(別に気のある男性の気を引こうとしているわけではないから~~)」ということを言っている。

 

justがなくてもおおよそ「ただ~してるだけ」感のある用例もあるので、ある程度パターン化した形式と言っていい。

 

as long asの使い方

受験ではas long as / as far asの識別ばかりがよく問題になるが、as long asは時間表現としても使われる点は忘れてはならない。そしてその場合、as long asはしばしばforの目的語として使われる。

 

(1)For as long as I could remember, I was afraid of him. (The Younger Wife)

 

その中でもfor as long as I can [could] rememberは定型表現で、「物心ついた時からずっと」の意味となる。もちろんそれ以外の使い方もできる。

 

(2)I’ll never forget that moment for as long as I live. (It Ends With Us)

 

そもそもas long asというブロックが前置詞の目的語になるという発想すらない受験生も多いので、知っておく方が良い。as long asはforをとらずとも期間の意味で使うことが出来るが、これは、how long / for how long (how long ... for)と同じ感じで考えておけばよい。

 

さて、このas long asは異なる前置詞と組み合わさることもあり、覚えておきたいのはin as long asという形。

 

(3)And for the first time in as long as I can remember, I’m not thinking about work, or Fairy Girl, or anything else apart from what’s happening right here, right now. (The NIght We First Met)

 

firstはinと組み合わさり使われるのは周知だが、このinの目的語の位置にas long asが来る使い方がそれなりにある。

 

as long as同様、前置詞の目的語として使うという発想が受験生には残念ながら根付いていない表現形式として、what節がある。

 

(4)Robert’s been locked in his study for what feels like months, never present even when he is and, truthfully, reaching forty has sucked. (In Her Eyes)

 

(5)After what feels like hours but turns out to be only fifteen minutes or so, I’m moving across the ice a little more freely. I wouldn’t call it skating, but I’m not falling over, at least. (The Night We First Met)

 

こうした<前置詞what feels [seems] like X>という形式は定番なのでそのまま覚えておくようによく言っている。さきほどのas long asと同様、inとの組み合わせもある。

 

(6)This is the first time in what feels like months that I’ve had any time to myself. It’s the first time there’s been any peace at all, and I want to enjoy every single second of it. (The NIght We First Met)

 

最上級やfirst / onlyといった語とinの組み合わせそのものが良く分かっていない受験生も多いので結構授業ではしつこく言っているが、このinの目的語にwhat節がこうやってくるケースもそれなりにある。

 

ところで、こうしたwhat節で必ず覚えておきたいのは、例えば次のような例。

 

(7)We sat there for what seemed like forever. (The Silent Patient)

 

こうしたwhat seems [feels] like an eternity [eons / forever]などはほぼ完全に定型化しているのでやはりそのまま覚えておく方が良いが、foreverに至っては副詞なので、少し文法的には不思議な表現。さらには、頻度は遥かに下がると思うが、what seems like years agoのようにagoの前にこのwhat節がくることもある。

 

いずれにせよ、時間表現としてのas long as / whatはしっかり意識して覚えておきたい。

 

 

 

better offの使い方

well offという熟語は受験でも定番だが、比較級になるとbetter offになる。これまで教えてきた経験上、このbetter offという表現はあまり使い方を分かっていない受験生が多いイメージがある。well offを比較級にしたもの、という知識しかないと使い物にならない。いくつか典型的な使い方を挙げておく。

 

(1)She would have been better off just bracing for it. (The Younger Wife)

 

まず第一に、better offはこのように<better off ing>という形式で使うことが多い。意味は「~する方が良い」くらいの意味。

 

(2)But quite frankly, now you know the truth … you’re better off dead. (The Silent Patient)

 

第二に、<better off 形容詞>の形で使われる。その中でもbetter off deadは定型表現と言ってよい。

 

(3)“Maybe Daisy would be better off with Mia right now?” he says gently. (The Child I Never Had)

 

第三に、<better off 前置詞句>という形でも使われる。結局いずれにせよ、<better off X>のXは条件的な意味になっていると考えておけばよい。であれば、当然次のような<better off if>があることも容易に予想できる。

 

(4)They’ll all be better off if I’m not here. (The Night We First Met)

 

ちなみに、このbetter offが疑問詞で聞かれている用例に最近であった。

 

(5)I think I was hoping we’d have a lovely time together and I’d send you a gloating postcard about how much better off I am without you. (Evidence of the Affair)

 

これくらいのことは教えないとbetter offを教えたことにはならないだろう。ちなみに入試の英文でもいくらでも出てくる。例えばひとつだけ。

 

(6)They believed strongly that the Maori would be better off under British rule, but also understood that the Maori chiefs would never sign any treaty if too much power were taken away from them.  [名古屋外国語大]