英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

aloudの意味

副詞のaloudは誤解されやすい単語の一つとされていて、辞書などにはたいてい「aloudとloudlyの違いに注意しなさい」と書いてある。ジーニアス英和大辞典には次の三つの語義が挙がっている。

 

1.(人に聞こえるほどに)声を出して

2.(古)大声で

3.(英略式)はっきり

 

 

同時書の例文をいくつか。

(1)read a poem aloud「詩を朗読する」

(2)The candle will lose its magical power if the wish is uttered aloud.

「模試願い事を口に出していってしまうとろうそくは魔力を失うだろう」

 

英英辞典の定義をいくつか。

・in a voice loud enough to be heard (Cambridge)

・with the speaking voice in a way that can be clearly heard / archaic : in a loud manner (Merriam-Webster)

if you readlaugh, say something etc aloud, you read etc so that people can hear you (Longman)

 

Longmanには次のような注意書きがついている。

Do not use aloud to mean ‘in a loud voice’. Use loudlyYou need to speak quite loudly for the people at the back.

 

こうやって見てくると、確かによく言われるようにaloudは「声に出して/聞こえるように」の意味で、ジーニアスやMerriam-Websterにあるように「大声で」は古い用法で今ではその意味ではloudlyを使う、と言えそうだ。

 

 

が、Longmanに挙がっている次の例文は「大声で笑う」の意味に「も」なるのではないか。

 

(3)She could have laughed aloud.

 

これは訳せばおそらく「やろうと思えば彼女は大声で笑うこともできただろう」くらいになる場合もあると思う。もちろん、laugh aloudが「人に聞こえるくらいに笑う」の意味にもなるだろうが、「大声で笑う」の解釈もあると思う。さて、COCAから拾ってきた次の例はその解釈があり得ることを示している。

 

(4)He laughed aloud, the big, hearty full-bodied laugh Lila used to love.

 

さて、Longmanにはlaughを含めて

 

・laugh / groan / cry etc aloud

 

という動詞群がまとめられている。これらの表現ではどれもaloudは「大きな声で」の意味になりうるものをまとめているのではないか。

 

ここで参考になるのが小西編の『現代英語語法辞典』だ。そこでは概略次のように書いてある。

 

・本来声を出すことを前提としない個人的行為の動詞の場合は「口に出して」の意(例:read / think)

・声を出すこと意味する動詞の場合は「他人に聞こえるくらい」の意(例:speak / laugh)

・大きな声を含意する動詞の場合は「大声で」の意味

 

要するに動詞によっては「大きな声で」の解釈にもなる場合があるということだろう。COCAの用例を見る限り、そんなに「古い」というほどではないと思う。上に挙げたパターンのうちの三つ目の「大きな声を含意する」動詞でaloudと共起するものをいくつか挙げる。

 

・exclaim / cry / laugh / shout

 

shoutの例。

 

(5)" Dragons, come! " I shouted aloud.

 

exclaimの例。

 

(6)" It smells like-like Christmas trees! " he exclaimed aloud.

 

ちなみにCOCAで検索してみるとaloudと共起するもっとも高頻度な動詞はreadだ。それ以外だとsay / speak / think / wonderなどがよく一緒に使われている様子。こうしたところからもaloudの基本的なよくある意味としてはやはり各辞書が挙げている通り「(聞こえる位に)声を出して」という意味になるのだろう。が、一部の動詞と組み合わさる場合に「大きな声で」の意味合いとなりうることについては、ただ「古い」とだけ書くのではなくてもう少し丁寧に書いてもいい気もする。

 

が、改めて考えてみると、やはりaloudを使った場合は、結果的に大きな声かどうかはさておき、「相手に聞こえるくらいに」というのがメインに伝えたい内容なのかもしれないという気がしないでもない。同じ音量で叫んでも、「通常よりでかい声で」に焦点がある場合はloud(ly)で、「人に聞こえちゃうくらいに」に焦点がある場合はaloudを使う、というように使い分けがあるのか。ただ、そんなに細かい使い分けを本当にしているか、というと微妙な気もする。よく分からない。