英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

sinceと時制選択

「~以来」の意味を表すsinceは受験でも定番の項目で、<S have PP since SV(past)>といった形で使うのが基本とされる。しかし、実際には、主節で現在形が使われていたり、since節内で現在完了が使われていたりなど、原則通りでない例が存在する。以下内木場(2004)よりメモ。

 

(1)We're eating more meat since the war.

 

この例では主節に現在進行形が使われている。こういう場合は現在形が習慣的行為を表しているという。

 

(2)*She is drinking Martinis since the party started.

 

一方の(2)のように単一行為の継続の場合は容認されないらしい。

 

(3)Since when is he an authority?

 

この例のようにsince whenで現在形が使われる場合、現在完了が使われるよりも感情的意味合いが強くなるらしい。

 

(4)I have known Dr. Cooper since I have lived in London.

(5)Nothing has happened since I have been watching.

 

この例のようにsince節中で現在完了が使われる例が存在する。本来sinceは「起点」を表すはずだが、ここでの節内の現在完了は継続の意味合いであるため、本来的には共起しないはずであるが、こういうケースではsinceはほぼwhileと意味がそんなに変わらないという。

 

(6)I've been lonely since you've left.

 

ここでも節内で現在完了が使われているが、上の例とは違って「結果」の意味合いで、こうしたケースでは節内を過去形にしてもほぼ意味が変わらない。

 

(7)Since my sister has married she seems to be unable to get on with her life.

 

この例は節内が完了形で主節が現在形なので大変興味深い。なお、主節で現在形が使われるケースでは、sinceの意味が「理由」の意味も含んでいる場合に容認されやすいらしく、この例はまさにそれが感じられる。

 

受験の定番「死んでから10年」構文におけるsince節でも完了形が使われることがある。

 

(8)It's been two years since I have seen her.

 

この構文で節内に現在完了が現れる場合、「否定の継続」が意味される。要するに、(8)では彼女を見ていない期間が2年だ、と言っている。そもそもこの構文ではsince節で述べられる内容が主節が表す期間内に一度も起きないことを意味している。以下のコーパスで見つけた例ではanyが使われている点が興味深い。

 

(9)It's been about three months since any measurable precipitation has fallen in the region. (COCA)

 

この構文で完了形を取れるのは、繰り返し経験できる出来事を表す動詞のみ。

 

(10)*It's been three yars since he has died.

 

一回しか死ねないのでこれは容認されない。

 

参考

内木場努 (2004)『「こだわり」の英語語法研究』開拓社.