英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

気分で正誤問題(1)

次の問1~問5の下線部(a)~(d)の中から間違っているものを一つ選びなさい。

 (中京大2017)

 

 

1.The problem was (a)that she could understand (b)either English nor French (c)which were (d)most widely used in that region.

 

2.Not (a)only did they kindly (b)come to my home (c)but they also (d)offer real help to me.

 

3.You are the (a)very last person (b)that I would have expected (c)you to say such (d)a thing to me.

 

4.I will (a)never forget that person for (b)having saved me in the sea rescue as (c)far as we (d)live in this world!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

1. (b)  2. (d)  3. (c)  4. (c)

 

簡単な解説

1.The problem was (a)that she could understand (b)either English nor French (c)which were (d)most widely used in that region.

 

(b)either→neither

英語もフランス語も話せないので「どちらも~ない」の意味のneitherを用いる。neither A nor Bのセットで使う表現。

 

★補足

English / Frenchは固有名詞のようなもので、一般的に考えたら関係詞の前にカンマがつきそうであるがこの問題ではついていない。これは問題の不備なのか、意図的なのか、よく分からない。確かに、英語などにも複数の種類がありうるので、そういった場合にはカンマがつかなくても良い。

 

例) Standard English is that variety of English which is usually used in print, and which is normally taught in schools and to non-native speakers learning the language.(名古屋外国語大)

 

しかし本問の場合はそうではなく明らかに他の言語との対比で「英語/フランス語」と言っている。であるから、一般的な学校文法にのっとって考えればやっぱりカンマがつく方が普通な気がする。単なる作問ミスではないとして、その理由を考える。中山仁(2016)『言葉の基礎1 名詞と代名詞』研究社.ではいわゆる制限関係節と非制限関係節の連続性について議論があり、端的にまとめると、「主節の示す内容あるいは談話の文脈に基づいて内容が十分に予測可能な場合、本来の非制限関係節はカンマなしで現れうる」ということになる。

 

例1)He showed it to O'Malley who got up at once and burried to the phone.

「彼がそれをO'Malleyに見せると、O'Malley(警察官)はすぐに立ち上がって電話のところに急いだ。」

 

例2)"Shut your mouth and get your feet together. In future you speak when you're spoken to and not before." He walked round behind Preston who was by now standing rigidly to attention.

「「口を閉じて姿勢を正せ。今後は話しかけられて時だけ口を開け。勝手にモノを言ってはならない。」彼がPrestonの後ろに回ると、Prestonはすでに直立不動で立っていた。」

 

最初の例では主節で示される内容に連続して次に起こる内容が関係節内で表現されているので、その意味で予測可能、とされる。二つ目の例では叱責されたことで態度を改めたことが文脈から十分に予想される。こうした理由でカンマがない、と説明する。

 

河野継代(2012)『英語の関係節』開拓社.では上の一つ目の例とかかわるような指摘がある。そのうちの二つを取り上げておく。

 

例3)Many of the rescued passengers were first taken to the island by helicopters that then returned to continue the search.

「救出された乗客の多くはヘリコプターによってまず島に搬送され、その後ヘリコプターは現場に戻って捜索を続けた。」

例4)...his left hand rests on a lever that activates a vacuum pump that in turn operates both the gas and brake controls.

「彼の左手はレバーの上に置かれており、そのレバーによって真空ポンプが作動し、そして作動した真空ポンプによってアクセルとブレーキ装置の両方が作動する。」

 

同書によればこうしたthenやin turnを含むカンマのない関係節は普通に存在するとされる。そしてこれらの語句の意味を考えたとき、「そしてそれから」くらいの意味であるから純粋に制限的とは言えない。これらも「連続的におこる」というような意味では一つ目の例と重なるものと言える。

 

さて、では本問の場合はどうか。「困ったことに英語もフランス語も話せない」という内容から考えて、「その地域で使われている言語なのに」という部分は十分に予測可能性が高いと言える。そうやって考えれば、この問題でカンマがないことにもそれなりの根拠があると言えなくもない気がしないでもない。けど、ここに下線を引いちゃうのはちょっとセンスがない。

 

 

2.Not (a)only did they kindly (b)come to my home (c)but they also (d)offer real help to me.

 

(d) offer→offered

not onlyで倒置が起きていて、didが使われていることから本来的にはthey cameとなっていることが読み取れるので、手助けをしてくれたのも過去なのでofferedとする。

 

3.You are the (a)very last person (b)that I would have expected (c)you to say such (d)a thing to me.

 

(c) you→なし

thatが作る関係詞節内で、もともとI would have expected the verylast person to say...となっていたところからthe very last personが関係詞として節の頭に移動するため、空所にならなくてはいけない。

 

4.I will (a)never forget that person for (b)having saved me in the sea rescue as (c)far as we (d)live in this world!

 

(c) far →long

意味的に「私が生きている限り」という意味で、期間を表すのでlongにする。

例)As long as he's here, I'll have more work to do.(ジーニアス)

 

as long asは条件の意味でも使われる。

例)I don't care as long as you are happy.

 

★補足

as long asについて現代英語語法辞典(三省堂)には細かく説明がある。これに従うとas long asは三つの意味に分かれるという。

(A)「~だから」

as long asに続く文の文意が真である時、since(理由)の意味になる。口語的。場合によっては先頭のasが省略されることもある。

例)As long as you're just sitting there, come help me with the groceries.

「そなところでじっと座っているだけなんだから、こっちで食品販売を手伝ってよ。」

 

(B)「その間ずっと」

本問のタイプ。

例)We were perfectly warm as long as the sun was shining.

「太陽が照っている間はずっとぽかぽかと暖かかった。」

 

(C)「...であれば」

as long asの後の文意の真実性が未確定の場合。くだけた口語表現では先頭のasが省略されることもある。as long asの一番一般的な意味がこれ。

例)As long as he's handsome, I've no complaints.

「彼がいい男なら、それに越したことはないわよ。」