英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

【more 形容詞 a 名詞】の語順

良く知られているように、too / as / so / how / howeverの後ろに名詞句が来る場合、特徴的な語順を取る。

 

(1)That was too difficult a question to answer.

 

このように【形容詞 a 名詞】の語順を取るのはわかるが、たまにmoreでこの語順を取っているものを目にする。

 

(2)All we have managed to do is make more popular a policy that wasn't very popular when we started trying to get rid of it.(COCA)

(3)I mean the heavy hickory cane he always carried on the walks around town that became more and more familiar a sight as my brother Luther and I got old enough to pitch in on the farm.(COCA)

 

奥野 (1989)ではseemとseem to beの違いについての記述があり、よく言われるようにseem Aの形の場合、Aに来れる形容詞・名詞には制限が多いことが説明されている。その中で、seem Aの場合、Aには複数名詞や物質名詞が許容されにくいということが書かれており、ここではAには段階的な内容が欲しいのに対し、複数名詞や定名詞句、物質名詞などは段階性が感じにくいために容認されないのではないか、という説明がされている。

 

個人的に面白いのは、この点と絡めて、(1)のような例が挙げられていることだ。

受験でも定番だが、tooなどは後ろに複数名詞や物質名詞が来る場合は許容されない(例外的にmuch / manyなどの数量詞が来る場合は許容されるのも周知のとおり)。自分は単純にaがなくなってしまうとtooなどに名詞句が続いているように見えてしまうために許容されないと勝手に思っていたが、奥野(1989)では、どうも、seem Aに段階的な内容が欲しい、というのと同じ原理が働いていると考えているらしい。なるほどね、その発想はなかった。まあ、なんか違う気はするけれど。

 

が、しかし、何より面白いのは、次の例が挙げられていること。

 

(4)Mary is more intelligent a girl than Sally is.

 

以前読んだときに、この例を見て、あれ、この形って取るんだっけ、となった。古い形なのか?

 

まあ、用例はかなり少ないのは確かで、すごく自然な用法ではないと思う。だけど、確かに一定程度見かける気もするが、これはある種の類推なのか。too / asなどの形があるため、似たような使い方が混同によって生まれてしまったのか。それとも、僕が知らないだけで、なんかこういうのルールあるんでしたっけ。。。

まあ、とりあえずもう少し例を挙げておく。

 

(5)Most journalists think that's more important a story and a more important investigation than the Monica Lewinsky matter, but despite our involvement in it, the public met it with a collective yawn.

 

(6)It is all the more powerful a presence in the play for being enigmatic.

 

(7)This makes it all the more powerful a force, however, because, introduced there by her mother, it becomes the core of her self-image.

 

上の(5)の例では直後にa more important investigationという普通の語順が来ているのが興味深い。(6)と(7)では【all the 比較】という表現とaの組み合わせが結果的にこの語順にしかできないと考えると面白い。ちなみに、more以外で比較の場合も次のようなケースがある。

 

(8)That seems to be a little bit larger a program than we've known in the past, although it's not new.

 

ここでもa little bitがあるためにlargerの後ろ以外冠詞が入る位置がない、ということなのか。よく分からないけれど、とりあえず興味深い。

 

文献

奥野忠徳(1989)『変形文法による英語の分析』開拓社.