英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

同族目的語構文(1)

上智大学の長文問題で以下のような一文が出てくる。

 

(1)Before that time, people lived a nomadic existence based on hunting and gathering.

 

良く知られているように、liveは自動詞で目的語は取らない。しかし、上の英文では、目的語を取っているように見える。その点で(2)のような文と同じタイプと言える。

 

(2)He lives a happy life.

 

これは「彼は幸せな生活を送っている」の意で、liveという動詞と同族の目的語であるlifeが使われており、こうしたものは「同族目的語構文」と呼ばれる。特徴としてはまず何より自動詞なのに目的語が取れるという点だろう。同様の例としては(3)のようなものがある。

 

(3)The animals in the traps can die a slow and agonizing death.

 

同族目的語構文の一般的特徴としては、①目的語に形容詞など修飾語句がつく②不定冠詞がつくケースが多い③普通は受動文にはならない④使われる自動詞は非能格動詞である、などが挙げられる。そして、よく言われるように、名前からして、目的語は何でもいいわけではなく、同族のものでなくてはいけない。よって意味が似ていても(4)はよくても(5)は許されない。

 

(4)He died a glorious death.

(5)*He died a glorious end.

 

さて、改めて(1)を見ると、lifeではなくexistenceという語が目的語に使われており、原則に違反しているように思われる。このように、一部の組み合わせは同族でない場合も許容されるらしい。慣用的に決まっているのかもしれない。ちなみにliveの右4語以内にexistenceが現れる例をコーパスのCOCAを使って検索すると、140例ほど出てくるので、意外と使われている表現なのかもしれない。3例ほど挙げておく。

(6)She had lived a fragmented existence with a biological mother who understood that she had to save her child from poverty and domestic violence.

(7)For much of his life, he had lived a golden existence -- never having to work hard, never having to worry about his future.

(8)I don't think they live some monastic existence.

 

(COCAで色々調べている途中でhe smiled his old sweet knowing smile.というやや見慣れない例を見つけたのでついでに貼っておく)

 

参考

大室剛志 (2018)『言葉の基礎2 動詞と構文』