友澤宏隆. (2017). 定義文に用いられる動詞 involve について. 言語文化, 53, 3-16.
という論文で、involveがほぼほぼbe動詞に相当するような意味合いで使われているケースがあると論じられている。これは僕自身以前からそんな気がしていた。
(1)If asked to say what it means ‘to lie’, most people respond that lying involves saying something that isn’t true. It is easy to think of cases where the definition fails.(Taylor 2012: 238)
このような例が挙げられ、この文は「『うそをつくとはどういうことか』と尋ねられれば,たいていの人は『うそをつくとは真実でないことを述べることだ』と答える」というような内容だ、と説明されている。
自分が感覚的に感じていたものが論文になって明示的に説明されると安心する一方、個人的にはこれは何もinvolveに限った話ではないと感じている。
(2)In England, what might be known as the "Royal Cross" consists of crossing the legs at the ankle, but not at the knees. If you observe news photographs of English royalty, especially Queen Elizabeth II, you will see that "Royal Cross." She is almost always pictured with legs crossed at the ankles and never at the knees. Princess Diana, however, was often pictured with her legs crossed at the knees, proving that even royal conventions change.(亜細亜大)
ここでのconsist ofは本来「Sは~から構成されている/~から成る」という意味だが、ここではほぼ「足首のところで脚を組むことだ」くらいの意味で解釈するのが自然だろう。要するに、ここのconsist ofは意味的にはほぼbeに相当する。
(3)As much as 50 percent of a student's grade in most classes consists of "class participation," or how much the student contributes to the class discussion, the other half in such a case would be homework completion, test scores, and other factors.(追手門学院大)
ここでは後半でwould beが使われているので、より一層それがはっきりする。A involve Bは「AがBを必然的に含む」というような意味で、A consist of Bは「AがBから構成される」なので、関係的にはいずれもAのパーツの一部にBがある、ということになるわけだから、これらの表現でいずれもbe的に使われるという共通点があっても不思議ではない。
前置詞のofは部分と全体の関係を表す、などとよく言われるが、その部分がどんどん大きくなればいずれ全体に一致する。ofには同格というイコール関係を表す用法がかなり発達しているが、それも無関係ではない気がする(気がするだけ)。