英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

It is 形容詞 of A to doの構文について

受験で定番の構文の一つに次のようなものがある。

 

(1)It might be wise of you to avoid studying abroad next year.(近畿大

 

このタイプの構文で使える形容詞は(2)のようなタイプの構文でも使えるとされる。

 

(2)Therefore, if people's words disagree with their body language, you would be wise to rely on their body language as a more accurate reflection of their true feelings.(京都産業大

 

こうした【It is adj of A to do】と【A be adj to do】のパターンを取れる形容詞について何点かメモ。

 

まず具体的にこのタイプの形容詞を挙げてみると、例えばwise / smart / kind / stupid / braveなどがある。

 

このタイプの形容詞では補文を取る時に命令文にはならない。

 

(3)Be polite.

(4)*Be polite to help old folks across the street.

 

このタイプの形容詞の補文は内容的に過去指向であるのに対し、命令文は未来志向なため矛盾するためである。ただし、enoughをつけるとよくなる。

 

(5)Be polite enough to help old folks across the street.

 

このタイプの形容詞の補文には必ず非状態的な述語が現れる。

 

(6)*Tom was kind to be tall.

(7)*It was wise of John to inherit a fortune.

 

まあ、これは意味を考えたら意味不明すぎるが。。。

 

意外な事実としては受動化していはいけない、というものがある。

 

(8)*John was wise to be kicked by Sam.

 

授業ではあまり取り上げられることはないけれど、以下のようなパターンも取りうる。

 

(9)That John helped the lady was polite (of him).

(10)It was polite of John that he helped the lady.

(11)To help the lady was polite of John.

(12)For John to help the lady was polite of him.

(13)John's helping the lady was polite.

 

ここでの(11)の形は人によって容認しない人もいるという。また、(12)においてof himを省略しても良いが、逆に(13)においてはof himをつけることはできないらしい。

 

以上の例では形容詞のみのパターンだが、名詞句の場合も存在する。

 

(14)You were a smart man to leave.

 

ただし、このようなパターンには制約がいくつかある。まず名詞句の名詞には一般的な名詞、例えばman / woman / boy / girlなどしか来ない。

 

(15)*John was a stupid psychiatrist to leave.

 

さらに、このパターンの名詞句には不定冠詞しかつかない。

 

(16)*John was the wise man to run away from the bear.

(17)*There were some stupid men to do such a thing.

 

Itを用いたパターンではthatにすることもできる。

 

(18)That's nice of you to say so.(名古屋外国語大)

 

ただし、感覚的にはthatの場合は不定詞が現れないことが多い気はする。

 

受験産業においてもよく言われるように、一般に不定詞は未来志向だというが、このタイプの構文では例外的に過去を表すのが原則だ。よって、不定詞が完了形にならずとも意味は過去である。がしかし、だからと言って完了形には絶対ならないかと言えばそんなことはない。

 

It's really good of you to have invited me on the walk today.(関西学院大

 

そういえば、一般に不定詞を含むitの構文と言えば仮主語構文で意味上の主語にfor Aを取る。今回のパターンのofは不定詞の意味上の主語なのか?というと、(9)や(10)から明らかなように、形容詞に従えられるパーツであって不定詞の主語ではないと言える。

 

 

参考

中村捷 ほか(1976)『形容詞 現代の英文法7』開拓社.