英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

未来から見た過去

京都工芸繊維大の過去問に次のような一文が出てくる。

 

(1)I suppose that if our descendants reach the stage where they notice that their physics textbooks have not needed updating for the past millennium, they might conclude that there were probably more productive careers for them to follow than being a research physicist!

 

ここでは「今後これ以上物理学の進展が起き得ない」、という段階が来るかもしれないが、その場合どうなるか、という筆者の想定が書かれている。要するに、書かれている内容は未来の話になる。ところがここでは従属節で動詞が過去形になっている。これはどうしてかという結論から言えば、未来の時点を基準にして、そこから見たら過去にあたるためである。こういう場合英語では過去形を使うことができる。

 

これについて二つの文献から、具体例を挙げておく。まず田村(2005)に挙げられている例から。

 

(2)In the future, people will say that I was a great lawyer, though I am still a rookie here.

 

この論文ではこうした時制選択を「未来過去時制」と呼んでいる。

 

千葉(2018)では次のような例があがっている。

 

(3)This will make the police believe that he was killed yesterday.

(4)This will make the police believe that you were staying here today, and not in London.

(5)The police will believe that he was killed tonight.

 

tonightなどの副詞はいわゆるダイクシスにあたり、発話時点を基準にして「今夜」になっているため、発話時より後となるが、wasはwill believeから見た選択になっているという風に、基準が異なっている。

 

 

文献

千葉修司(2018)『英語の時制の一致』開拓社.

田村幸誠(2005)「英語補文自制の意味と形式の関係に関する一考察 - 複合グラウンディングの観点から -」