英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

結果構文(3)- Goldberg and Jackendoff (2004)から

結果構文についてGoldberg, A. E., & Jackendoff, R. (2004) "The English resultative as a family of constructions." Language, 532-568.から一部メモをしておく。

 

この論文の筆者はconstructional approachという観点から結果構文について述べている。彼女たちは、結果構文は、「二つの別々の下位事象を表している」、と考える。一つはVerbal Subevent(動詞によって表される、以下VSと省略)で、もう一方はConstructional Subevent(構文によって表される、以下CSと省略)である。例えば、(1)のような文を考える。

 

(1)Wiley watered the plants flat.

 

この文は、ただ「Wileyが植物をぺちゃんこの状態にしたこと」と「水をあげたこと」の二つを述べているわけではなく、「水をあげることで(手段)、ぺちゃんこにした」というように、二つが関連しあっていると解釈される。このように、大半のケースでは、VSがCSが起きる手段となっている

 

彼女たちは結果構文を(2)や(3)のようなproperty resultativeと(4)や(5)のようなpath resultativeに分けている。

(2)She watered the plants flat.

(3)The pond froze solid.

(4)Bill rolled the ball down the hill.

(5)Fred tracked the leak to its source.

 

property resultativeでは叙述される名詞句(以下HOST)が結果述語で表されるような性質を持つようになる事を表す。一方path resultativeはHOSTが結果述語によって表されるような経路を移動する事を表す。

 

ここで、以下のような「音放出動詞」にを含む結果構文(path resultative)を考える。

 

(6)The trolley rumbled through the tunnel.

(7)The wagon creaked down the road.

(8)The bullets whistled past the house.

 

このタイプの文では、VSは「主語が動詞で表される行為をすること」で、CSは「主語が前置詞句で表される経路を移動すること」になる。ところが、この場合、先ほどの「VSがCSの手段」ではなく、むしろ「主語の動きが音を放出させる」と解釈する。よって、(9)のような例は容認されない。

(9)*The car honked down the road.

 

形式上は同じだがこうした特異性があるので、「音放出動詞」のpath resultativeは結果構文の下位類だという。同じ放出でも「光の放出」はだめらしい。

 

(10)*The trolley sparked through the tunnel.

 

「音放出動詞」と同じ形式をとれる表現に(11)のようなものがある。

 

(11)The witch vanished into the forest.

 

そしてこのタイプは簡潔に言えば、VSとCSの関係は「手段」ではなく、「結果」だという。例えば(11)は(12)のようにパラフレーズされる。

 

(12)The witch went into the forest and thereby vanished.

 

「音放出動詞」のタイプと「消失動詞」のタイプはこのように似ているがway構文で表されるかどうかに関して異なる。

(13)The car honked its way down the road.

(14)*The witch vanished her way into the forest.

 

このように似たような意味を表し、似たような形式を用いた様々なタイプの結果構文があり、これらは全体で結果構文のfamilyを形成しているという。