英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

結果構文(1)

2018年の日本大学で出題された英文に以下のようなものがある。

 

A driver is trapped in a blazing lorry. There is no way in which he can be saved. He will soon burn to death. A friend of the driver is standing by the lorry. This friend has a gun and is a good shot. The driver asks this friend to shoot him dead. It will be less painful for him to be shot than to burn to death.

 

ここで下線を引いた英文では、動作で表現される結果状態を表している。to deathとdeadはそれぞれ、burnした結果どうなるのか、shoot himした結果himがどうなるのか、を表している。こうした英文を結果構文という。

以前描写構文についてメモをしたが、必須の補語ではないという点で学校文法では結果構文も描写構文と同じで疑似補語とか準補語と呼ばれたりする。

 

これから数回にわたってこの結果構文についてメモをしていきたい。

 

結果構文とは:ある行為や出来事の結果状態を付加詞的な述語によって叙述する次のような構文を言う。

(1)John pounded the metal flat.

(2)John painted the house red.

 

(1)の文はジョンが金属をたたいでその結果金属が平らになった。という意味で、(2)はジョンがペンキを塗った結果、家が赤く塗られた状態になった、ということを意味する。

 

結果述語として使えるものは、形容詞句、名詞句、前置詞句のいずれかである。

 

他動詞の目的語は結果述語の叙述の対象となるが、前置詞の目的語は不可である。

(3)John pounded the metal flat.

(4)*John pounded the metal flat.

(5)John loaded the wagon full with hay.

(6)*John loaded hay onto the wagon full.

 

主語は結果述語で叙述できないと言われている。

(7)*John worked tired.

(8)*John hammered the metal sick.

 

ただし、受動文の主語は可能である。

(9)The house was painted red.

また、自他交替(同じ動詞で自動詞としても他動詞としても使えるケース)を起こす動詞も可能である。

(10)Mary froze the ice cream solid.

(11)The ice cream froze solid.

(12)The ice cream was frozen solid.

 このエントリーの冒頭で挙げた日本大学の英文でも、burn to deathという表現が使われているが、これは見たところ主語の結果状態を表しているように思われる。しかしこれが可能なのも、burnが自他交替を起こす動詞だからである。

 

結果構文では、動詞が選択しない項、すなわち本来目的語を取らない自動詞でも偽の目的語を叙述することができる。

(13)I danced myself tired.

(14)*I danced myself.

(15)They laughed John off the stage.

(16)*They laughed John

(こうした自動詞は非能格動詞に限られ、非対格動詞では無理らしい。非能格動詞と非対格動詞については別の機会にメモをすることにする。)

 

(17)Her Nikes has been run threadbare. (She has run her Nikes threadbare.)

このように偽の目的語でも受身が可能である。

 

do soで置き換える場合、結果述語を含めて置き換えなくてはいけない。これは、目的語描写述語と同じである。

(18)Bill fastened the shutters open and Mary did so.

(19)*Bill fastened the shutters open and Mary did so shut.

 

結果述語と描写述語が共起する場合、結果述語が描写述語より前に現れないといけない。

(20)John hammered the metal flat hot.

(21)*John hammered the metal hot flat.

 

描写述語はwh移動が許されないが、結果述語は許される。ただし、これには反論が寄せられており、それはまた別の機会に書く。

(22)*How rare did John eat the meat?

(23)How flat did John pound the metal?

(24)How angry did John make his friends? (普通のSVOC)

 

結果述語は文中に複数個現れることはできない。

(25)*John washed the clothes clean white.

 

意味的に考えると、結果構文は名前の通り出来事が完了していることを表す。

(26)John ran for one hour / *in one hour.

(27)John ran his shoes threadbare in one hour / *for one hour.

 

 

 参考

岸本・菊池 (2008)『叙述と修飾』研究社.