英語の勉強メモ

英文中で出会った表現のメモや、英語に関わる文献のメモです。

余分なas

やはり本来なくてもいいはずのものがあると面白い。最近読んでいる小説に次のような一文が出てきた。

 

(1) I know that. Lance knows that. Damn, even 'bloody Robert' as he shall now be forever known as, knows that. (The Night We First Met)

 

簡単に文脈を説明すると、主人公の女性(Marianne)は職場の上司(Robert)と付き合っていたが、ある時、同僚の女とその上司である彼氏が浮気している現場を目撃する。そんな職場で働きたくないので仕事をやめることにしたが、親友(Lance)にその話をしたら、「Marianneは何も悪いことをしていないのに、あなたが仕事を辞めるなんておかしい」と言われた。thatはそれを指している。

 

受験産業では「名詞限定のas」と呼ばれることが多い、あるものやある人物の通称や仲間内の呼び名などを述べるときによく使われるas S be known / as S be calledという言い方があるが、ここでもその表現が使われている。しかし、ここでは最後にasがついている。明らかにこのasは余計である。しかし、考えてみれば、asは<as...as>で使われるし、関係代名詞を使った表現では<which ... as / who ... as>みたいな形は良く用いられるのであるから、そうしたところからの混同で最後にasがついてしまってもそこまで不思議ではない。

 

とか思ってコーパスで調べてみたら、やはりいくつか同様の例が見つかった。

 

(2) MSN, as they are known as, scored a mammoth 125 goals in the whole of 2015, more than some teams managed between them for the calendar year. (FanSided)

(3) Welcome to the world of PassivHaus building, or ‘passive houses’ as they are known as in the UK. (Ecologist)

 

(3)のように後ろにin Xの形が後続しているものが結構多い。as in Xで「Xにおいてそうなのと同じように」という表現なので、それとの合成なのかもしれない。

 

とかいろいろ考えていたら、あることを急に思い出した。そういえば、今でこそ当たり前になってしまって何も思わないけど、そもそも<as S be known>という表現は何とも不思議な言い方だなと昔思っていた。<as S be called>は、call OCのCが抜けた形になっているので、すんなり理解できるが、<S be known X>ではなく、<S be known as X>が正しい言い方なので、なんで<as S be known>なんて言えるんだろうと疑問に思った。要するに、<S be called X>と<S be known as X>という表現で、単純な引き算で考えれば、<as S be called>と対等な形式にするなら<as S be known as>だろ、と思っていた、という話。

 

ある時からas節は補語や補語に準ずる形式や様態の副詞が節内で抜ける形になる、と便宜的に考えるようになった。そして、<as X>は一種の補語と見なすようになった。そのような考え方をするなら、asの句が抜けるのは自然なので、<as S be known>は辻褄が合っているので、今では何も思わなくなった。

 

しかし、改めて昔の疑問を思い返してみると、なんで<as S be known as>ではなく<as S be known>なんだ?と思っていたわけで、(1) ~ (3)のような形があるというのは、もしかしたら昔の僕と同じ気持ち悪さを感じる母語話者もいるのかもしれない、とか思ったりした。

 

ところで、<as S be kown>に比べれば頻度は落ちるものの、<as S be referred to>という言い方もある。次のようなやつ。

 

(4)I recently met a man who works with women's hair, making them into dreadlocks (or locks, as they are referred to these days). (African Arts)

 

refer toも<refer to X as Y>で「XをYと呼ぶ」なので、これもknownと同じでasの句が抜け落ちた構造をしていることになる。そして、予想通り、次のような例がネットに見つかる。

 

(5) Second, none of these funds are considered commissions; they are direct earnings, or bonuses, as they are referred to as, which you receive 100% of.